« 2016年10月 | トップページ | 2016年12月 »

スティグマータ

近藤 史恵著『スティグマータ』読了
サイクルロードレースシリーズの最新刊。
主人公は欧州で活躍するサイクルロードレーサー。チームに所属し、エース選手を優勝させるためにアシストを行う選手だ。サイクルロードレースで面白いのは、一人のエース選手を勝たせるために、何人ものアシスト選手がいて、エースの体力を温存するために前で走って空気抵抗を減らす役目や、別チームの選手が飛び出したときなどは勝手に先行させないようにするために、その選手について行って遅らせるなってことを行う。非常に奥が深い。ただ、日本ではサイクルロードレースの知名度は低い。競輪があるためか。
今回はツール・ド・フランスがテーマ。別チームのエース選手から同じチームの選手を見張るように依頼される。昔のトラブルの関係で、狙われていると。レースが始まって、いろいろ妨害工作も起きる。自転車レースはなかなか繊細だ。各チームのエースの時間差は最終レースまで行っても数秒しかないなど、非常に熾烈な戦いとなる。ちょっとしたことで調子が来るって先頭からは遅れてしまうことなんかがあるらしい。
実は依頼人は最後のレースで何かの出来事を起こして、レースを終わりたいと思っていた。記憶に残るような出来事の主人公となりたいのだった。当然、レースに勝つことが一番だが、そうも行かないのなら、何かの記憶、思い出を作るようにしたい。そして、晴れて引退したい。そんな神経戦がレースで展開する。
毎回、レースの中の記述がうまくて、まるでレースを映像で見ているみたい。生き生きした表現がすごくいい。また、レースでない場面、自宅にいるときや、ホテルでくつろいでいるときの表現もよかった。
まだまだ欧州でレースをしていきそうな主人公であるので、今後も楽しみ。

スティグマータ
スティグマータ近藤 史恵

新潮社 2016-06-22
売り上げランキング : 50281

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
キアズマ (新潮文庫) サヴァイヴ (新潮文庫) エデン (新潮文庫) シャルロットの憂鬱 サクリファイス (新潮文庫) キアズマ スマイリング!  岩熊自転車 関口俊太 セカンドウィンド 3 (小学館文庫) シークレット・レース―ツール・ド・フランスの知られざる内幕 (小学館文庫) かわうその自転車屋さん 3 (芳文社コミックス)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

朽ちないサクラ

柚月 裕子著『朽ちないサクラ』読了
主人公は警察事務官の女性。友人に警察内部の話をした際に、それから新聞のスクープとなってしまったのではないかと疑う。友人は新聞記者でその後、誰からに殺されてしまう。
この事件の裏に公安警察が絡んでいるという。ちょっと最後がよろしくない。
なんだろう。さすがに、権力を守るために一般市民を殺すことはないだろう。
話自体はスムーズで読みやすかったが、おしまいはいただけないかな。まあ、最初の話としてはこんな感じで、この主人公がこれから成長していくのであるなら、それはそれで面白いか。
次に期待しよう。

朽ちないサクラ
朽ちないサクラ柚月 裕子

徳間書店 2015-02-10
売り上げランキング : 159858

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
パレートの誤算 ウツボカズラの甘い息 孤狼の血 慈雨 あしたの君へ 蟻の菜園 ―アントガーデンー (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) 臨床真理 (上) (宝島社文庫 C ゆ 1-1) 臨床真理 (下) (宝島社文庫 C ゆ 1-2) 最後の証人 (宝島社文庫) 検事の本懐 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ウツボカズラの甘い息

柚月 裕子著『ウツボカズラの甘い息』読了
なかなか面白かった。
主人公は普通の主婦。懸賞で当たったパーティに行った際に中学の同級生だという女性に声をかけられる。化粧品の販売をいっしょにやろうと誘われる。といっても、一緒に事業をやろうというわけではなく、化粧品を実際に使ってもらって、その実演をして会員を集めるという。化粧品の品質はよく、自分も美しくなっていく中で、会員は順調に伸び、給料も入っていい事ずくめだが、ある時から同級生に連絡が取れなくなる。それと同時に会社の未公開株の上場の問い合わせが入ってくる。実は壮大な詐欺だった。会員を集め、資産家と思われる会員に上場したら高く上がるという未公開株を買ってもらう案内をしていた。そのお金を持ち逃げするのが目的だった。
調べていくうちにこの首謀者は実はいくつかの詐欺をはたらいて、カネを稼いでいたことがわかる。同様な手口、昔の同級生を装って近づき、うまく騙して逃げる。
よく出来ている話だ。確かに同級生だったと言って、記憶がそれほどなくても信じてしまう場面もある。さすが、いきなりお金を貸せなんて言われたら怪しく思うけど、こんな事業をやるから協力してくれなんて話だったら、信じてしまうかもね。
非常に面白かった。展開も早くて、ミステリーとしての出来はいい。

ウツボカズラの甘い息
ウツボカズラの甘い息柚月 裕子

幻冬舎 2015-05-26
売り上げランキング : 212325

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
朽ちないサクラ パレートの誤算 孤狼の血 慈雨 あしたの君へ 蟻の菜園 ―アントガーデンー (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) 臨床真理 (下) (宝島社文庫 C ゆ 1-2) 臨床真理 (上) (宝島社文庫 C ゆ 1-1) 最後の証人 (宝島社文庫) 検事の死命 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ヒポクラテスの憂鬱

中山七里著『ヒポクラテスの憂鬱』読了
ヒポクラテスシリーズ(と勝手に名付けたが)第二弾。
司法解剖を受け持つ大学の解剖学教室に勤める医師と刑事たちが被害者を解剖することによって、新たな事件の切り口を見つけ出す短編集。
それぞれのお話がしっかりしているので、まったく飽きない。そして、非常に面白い。
世の中の不審死のうち、司法解剖される率は非常に少ないのだとか。だから、もしかしたら、殺されたかもしれないのに、自然死として扱われてしまっていることもあるのだとか。それを防ぐためには解剖をしたほうがいいのだけど、カネがかかる。やり手がいない。医者は生きてる人を救うのが本来の仕事で死んだ人を見るのはあまり評価されない。だから、解剖をやる医者が少ないのだとか。
しかし、殺人事件が見つからないで、遺体が火葬されてしまったら、おそらくわからないだろう。なかなか難しい問題だ。お金の話だと本当に厄介かな。もっと、ちゃんとやれたらいいのにね。
非常に面白かった。おそらく続きもあるでしょ。期待したい。

ヒポクラテスの憂鬱
ヒポクラテスの憂鬱中山七里

祥伝社 2016-09-13
売り上げランキング : 75411

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
セイレーンの懺悔 作家刑事毒島 ヒポクラテスの誓い (祥伝社文庫) 慈雨 雪煙チェイス 潮騒のアニマ 法医昆虫学捜査官 恩讐の鎮魂曲 BACK 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫) どこかでベートーヴェン (『このミス』大賞シリーズ) あなたのための誘拐

| | コメント (0) | トラックバック (0)

教場2

長岡 弘樹著『教場2』読了
前作と同じく、警察学校の出来事を描く。
全体的に暗くたんたんとした調子で描かれる警察学校の生徒の生活から、途中退校してしまう生徒の出来事にミステリー性がある。まだ警察官になっていないのだが、いろいろな試練がある。でも、最後には無事に卒業、配属となって警察官になる。そのあたりは少しはホッとされるが、全体に暗いので、どんよりして感じはある。
足の引っ張りあいみたいなところは、どこでもあるのだろうけど、教官が厳しく指導をして、ふるい落とそうとするものも描かれる。そこまでやっているのかどうかは分からないが、警察官になるのはそう簡単ではないのだろう。
このシリーズ、視点としてはおもしろい。さすがにこれ以上はつながらないとは思うが。

教場2
教場2長岡 弘樹

小学館 2016-02-23
売り上げランキング : 125588

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
教場 (小学館文庫) 赤い刻印 陽だまりの偽り (双葉文庫 な 30-1) 白衣の嘘 傍聞き (双葉文庫) 去就: 隠蔽捜査6 慈雨 ガラパゴス 上 ガラパゴス 下 教場

| | コメント (0) | トラックバック (0)

羊と鋼の森

宮下 奈都著『羊と鋼の森』読了
本屋大賞を取った作品。
ピアノの調律師のお話。
自分はピアノを弾かないが、娘が弾くので自宅にピアノはある。調律も一年に一度やってもらっている。残念ながら、調律によって音色が変わるとかそういったことは全くわからない耳をしているので、物語で語られる情景はそうなんだなと思って読んだ。
非常に洗練された形の良い純文学だと思った。これなら映画化されたら非常にきれいな映画になるんだろうなって思った。読んでいくうちに自分の中で映像化されていく感じがした。登場人物としてでてくる高校生の双子の姉妹なんかは誰がやるのがいいのかとか思ってしまった。
主人公の調律師見習いが徐々に成長していくさまがうまく描かれていて、読んでいくにしたがって心地よくなる感じだった。
いい作品と思う。

羊と鋼の森
羊と鋼の森宮下 奈都

文藝春秋 2015-09-11
売り上げランキング : 508

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
君の膵臓をたべたい 誰かが足りない (双葉文庫) 海の見える理髪店 はじめからその話をすればよかった (実業之日本社文庫) スコーレNo.4 (光文社文庫) コンビニ人間 世界の果てのこどもたち 神さまたちの遊ぶ庭 よろこびの歌 (実業之日本社文庫) 火花

| | コメント (0) | トラックバック (0)

七人の侍

午前10時の映画祭というものをやっていて、『七人の侍』を4Kで上映されるということで、デジタル化が更に進み、非常に鮮明になったとの前評判で最終日に見に行ってきた。
全国の映画館で2週間、しかも前半組と後半組とあり、静岡で前半2週間の開催時には行く暇がなく、仕方がなく浜松のしかも最終日の金曜日、休みを取って行った。
はっきり言って、なんど見たか忘れてしまうくらい観ているが、おそらく映画館の大スクリーンでは4回めではないかと思う。最初は中学2年か3年の春、何回目かのリバイバルを観て、あまりに面白かったので、翌週にまた見に行った記憶がある。その時はまだ中学生だったということもあり、この映画の評判とかそういうものを全く知らずに見に行って、圧倒されて帰ってきた。黒澤明監督の凄さも知らなかったから、衝撃はすごいものだった。だから2回も見たのだけど。
その後、成人した後、やはりリバイバル上映で観た。この時も衝撃だった。
テレビでも何回も観ているが、やっぱり迫力が違う。

今回は4Kになっていて、非常に鮮明になっていた。それぞれの登場人物の表情などがくっきりしてびっくりした。さらに音声も鮮明になっていた。一番最初のセリフ、野武士が村の遠景を見て”やるか!”と発するのだが、最初に観たときはこれがよくわからなかった。何回か観てやっとわかったが、そのあたりからはっきりわかるようになった。

これ、先週で終了してしまっていて、非常に残念。
TVで4Kで見るのもいいのだけど、劇場で見るあの迫力は再現できない。
40年前に見て、おそらく20年位にも観たものを、今回見て、あと何回見れるんだろうと考えてしまった。
10年後ぐらいに観たら、また違う感想を思うのではないかな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2016年10月 | トップページ | 2016年12月 »