叛徒
下村 敦史著『叛徒』読了
警察の通訳職員が主人公。
自分の義理の父親も警察官であったが、その不正を結果的に告発することとなり、職場では裏切り者として扱われてしまう。そんな自身の家族が関係しているかもしれない殺人事件が起き、その外国人の取り調べであえて意訳というか誤訳をしてしまう。その結果捜査は違う方向に行ってしまう。
案外翻訳というものは危険性を秘めているかもしれない。そもそも言語によるコミュニケーションというものは、自分の思っていることが100%相手に伝わっていることはないはずだが、大体において伝わったはず、理解したはずと思ってしまう。同じ言語でのコミュニケーションでもそんな感じなので、これが違う言語であるなら、もっと伝わらない。かんたんな見えるものの表現とか説明ならまだいいが、感情とか思いなんてものは伝わらない。そもそも背景とか文化だって違うのだから。
この小説で扱った警察における通訳職というものは現代の国際社会では非常に大事なものだし、特に最近の東京なんかはいたるところに外国人が観光でウロウロしているので、事件も起きるし、事故もある。だから大変だし、ちゃんと通訳できないと大変なことが起きる。
著者はなかなかいいところに目をつけたものだ。この構成でシリーズ物にできるのではないかと思った。
叛徒 | |
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