アンダーグラウンド・マーケット
藤井太洋著『アンダーグラウンド・マーケット』読了
オービタル・クラウドにつづいて著者の本を読んだ。
オービタル・クラウドがかなりハードなSFだったので、非常に論理的な小説を書く人だなと思ったが、この本もそうだ。IT知識もしっかりしていて、Web開発周りのことは一通り理解していると思われる。また、今回の小説では仮想通貨周りのことも出てくる。そのあたりもしっかり書けている。そういった仕事もされた経験があるのだろうか。
この小説はちょっと先の世界を舞台にしていて、通常の通貨とともに仮想通貨が広く流通しており、それが裏の社会を構築している。表の社会では税金として消費税を取られるが、仮想通貨を流通させる取引では消費税を払わないので、みんなが仮想通貨側にいってしまう。本当にこんな社会になってしまうかもしれない。ほんといったら借金を返せるかどうかわからないくらいの借金を政府がしているとか、いまじゃあその借金を日本銀行が買い取ると言ったわけのわからない政策をやっていて、ひたすらお金をばらまいているのだけど、本当にそれで保つのとか心配になってしまう。でも、そうやっても思い通りにならないって政府の政策も失敗なんじゃないのって思ってしまう。
借金を後の世代に回しちゃだめでしょ。
まあ、そこまで重い話ではなく、仮想通貨とその取引を把握しようとした組織との攻防なんかが語られて、非常に面白かった。技術をしっかり捉えているので、IT技術者が読むと頷いてしまうくらいよくかけていると思う。登場人物も非常にうまくかけているし、技術者の一人が女性というのもいい。チームで対応するというのもいい。読んでいて心地よかったし、スイスイ読めた。良い参考書だな。
アンダーグラウンド・マーケット | |
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