戦場のコックたち
深緑 野分著『戦場のコックたち』読了
このミスランクイン。
ちょっと長い小説なので、時間がかかってしまった。
お話としては主人公は第二次世界大戦時のアメリカ兵で、コックとして働く特務兵。ノルマンディー上陸作戦以降のヨーロッパ戦線での戦闘と、その中で出てきたちょっとした謎を解くといったミステリー風の小説。
日本人がヨーロッパ戦線の第二次世界大戦をモチーフに小説を書くのも珍しいと思うが、非常よく出来た翻訳ものと思われるような流暢な物語が流れていく。その中で、主人公の成長や、同僚の死、ドイツ兵との戦いなど盛りだくさんで、全然飽きさせない展開だった。
最後にほろっと来てしまう。戦後のベルリンの壁崩壊のときに昔の仲間が集まり、東ドイツに残った昔の同僚と40年ぶりに再開する。そして、砲弾で亡くなった同僚の夢を見て、自分の戦後が終わるのだ。
戦後70年が経ち、世界大戦は歴史になってしまった。しかし、こういった小説に詳細に戦闘の模様を書かれて、それを読んでいるとつくづく戦争は悲惨なものだと思ってしまう。当然ながら、著者も戦後生まれだから、実体験はないと思われるが、このように臨場感を持って小説を書ける作家が出てくるのは面白い。
読了感は良かった。途中の戦闘シーンは非常に辛かったが。でも、それが戦争だから。
良い小説だった。
戦場のコックたち | |
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