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最後の証人

柚月 裕子著『最後の証人』読了
このミス大賞を取った著者の小説。ある意味、騙された。
事件はあるホテルで起きた痴情のもつれと思われる殺人事件。その加害者とされる人物の弁護を引き受けた弁護士が主人公。単純な殺人事件と思われたが、裁判が進むにつれ、なにか裏があるのではと思わせる展開で、どう転ばせるのだろうと思っていたら、実際の裁判の被告が、女性ではなく男性であることが小説の途中で明らかになる。すっかり女性が加害者だと思っていたから、ここである意味騙されたのに気がついた。いやー、うまく書いてある。
そして、被害者が実は加害者を陥れるために、自殺行為を働いたことがわかる。ガンで余命幾ばくもないために、昔自分の子供を飲酒運転で事故死させたのに、権力を使って刑を免れたことを知り、その復讐を行ったのだった。
弁護士としては被告を無罪にしなければならない。無罪にすることはできるが、そのためには大元の事件を明らかにしなければならない。無罪には出来たが、真の原因の裁きを受けさせることになる。巨悪を許さないというこの主人公である弁護士に感動だ。こういう人がいたらなぁ。
非常に面白かった。一気に読んでしまった。この主人公でシリーズができているようなので、順繰りに読んでいきたい。

最後の証人
最後の証人柚月 裕子

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