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塔の断章

乾 くるみ著『塔の断章』読了
もともとノベルズだったものをおしまいに著者がこの小説の解説をあえて書いたものを追加して文庫にした。
この解説まで読まないとしろうとはわからない。著者によれば、ほとんどすべての人がこの元の小説に書き込んだいろいろな伏線と意図をわからなかったらしい。私も当然わからなかった。
冒頭に塔の上で男女が揉めて、女が突き落とされる場面で開始する。そこからあとは断章がづっと続く。時系列もばらばらだし、途中はるか昔の場面も出てくる。メインは突き落とされた女性が妊娠していたので、その父親を探すということに収束していくと思われるのだが、実は冒頭の場面は小説の始まりではなかった。うーん、叙述ミステリーの形を取っているのだと、解説を読んでやっと理解できた。
断章が順番ばらばらに出てくるので、なかなか読みづらいのだけど、そこを乗り越えて最後までたどり着くと(そして解説まで読めば)そういうことだったのかと納得できる(かもしれない)。
いかにも著者がひねって練ったネタで小説を書いたのだが、著者の意図までわかった読者は少なかったのだろう。そういう意味では解説をつけたのは良かった。

塔の断章 (講談社文庫)
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