凪の司祭
石持 浅海著『凪の司祭』読了
海の向こうでは自爆テロの話題が多いが、なかなか日本では実感がない。そのうちにそういったテロも起きるのではないかと思うが、自爆テロではなく人が密集するところで2,000人を殺害する行為を起こそうとするとどうやるのかを表した小説だ。
動機は簡単ではない。東京の内陸部でゲリラ豪雨が起きるのは沿岸部に高層の建物を立てたからという説を信じて、その建物を破壊して海風を内陸部まで送るようにする。そのためには、その建物で多くの人が亡くなれば、建物を壊すだろうということで、大量殺人を計画する。しかも、爆弾などを使わずに、生物化学兵器の一種を探しだして、その毒素を人にふりかけて、または塗りつけて殺すというちょっと原始的な方法。まあ、フィクションだからということはあるものの、そこに科学的要素は入れこんである。確かに、毒素に触れただけで人が死ぬほどの毒素があるかというとそんなことはないだろうとは思うものの、いかにして2,000人を殺すかということを考えて、行動を起こすという道筋なんかは戦略論としてある意味参考になるかもしれない。当然ながら、ほめられることではないが、目的のためには出来る限りの思考を行い、考えぬいて行動するというお手本かもしれない。ただ、狂気にかられてというのはいけない。
まあ、フィクションだから許されるが、今の日本、特に東京では外国人も多くて、いつどこでテロが起きてもおかしくない状況かもしれない。その時人はどう行動したらいいのか、一度しっかり考えておいたほうがいい。単に怖がるだけでなく、想定しておけば対処できる。この小説は荒唐無稽な内容かも知れないが、テロなんてものはそもそも荒唐無稽なものだ。
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