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人類資金

福井 晴敏著『人類資金』読了
7巻まである長い小説で、同時に映画も作成されて、図書館で順繰りに借りて読んでいるうちに映画が封切りされて、そのうちにCATVでも放映されて、先に映画を見てしまった。最終的に7巻まで読んだが、途中までは手に汗握るコンゲームで面白かったが、途中から進みが落ちてきて、ひたすら登場人物の心象風景が描かれて展開が遅くなってしまった。しかも、7巻がめちゃ厚くて、ここにそれまでの巻の紹介が書かれていて、はっきり言って7巻だけ読めば事足りた。
映画は一気に見れたので、非常に面白かったが、なんか中身が薄かったかな。小説で書かれた想像力豊かな描写を映画に表すとこうなってしまうのかなと思ってしまう。まあ、映画だから仕方がないが。
著者の歴史観がいっぱい詰まった小説であることは確か。それが、ちょっと鼻についてしまう。展開を早めればもっと少ない枚数で終われたのに、延々歴史観を語られてもなって感じがする。主張は十分わかるのだが。戦後の日本が歩んできたものをリセットしたいのだろうけど、全否定も出来ないし、全肯定も出来ない。こういう世の中に生きている我々としては、仕方がない面が多いのだ。やり直せるのなら、うまくやり直せるかもしれないが。
この小説に関して言えば、映画を見てもらったほうがいい。

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人類資金6 (講談社文庫) 人類資金5 (講談社文庫) 人類資金4 (講談社文庫) 人類資金3 (講談社文庫) 人類資金2 (講談社文庫)

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太宰治の辞書

北村 薫著『太宰治の辞書』読了
表紙の絵で昔のシリーズを思い出した。
主人公は出版社に務める女性。太宰治の小説のなかにある謎を様々な文献や他の人の小説などから探し当てる。昔の友だちだった高校教師や落語家なんかも出てきて、懐かしい。
太宰の小説はほとんど読んでいない。高校の教科書くらいか。小説の中で、他の人の文章を引用しているなど、いろいろ調べると面白い事実もわかる。”生まれてすみません”なんかも、他の人の詩から引用しているのだと。知らなかった。
このシリーズ、また続けるのかしら。懐かしいシリーズが復活したので、続けて欲しい気もするが。

太宰治の辞書
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武士道ジェネレーション

誉田 哲也著『武士道ジェネレーション』読了
武士道シリーズの完結編。
主人公たちは大学生となり、さらに大学を卒業することとなる。一人は道場の後継者とされる男性と結婚し、もう一人は道場の師範代見習いになる。道場を継ぐために、道場に伝わる剣道を超えた作法を実地で稽古することとなる。その中でさらに成長していく。
この二人の登場人物と周りの人達すべての人物描写がすごくいい。前作を読んでから結構経っているが、この特に二人のやり取りなど、感動してしまった。このお話にまた戻ってこれてよかった。
一度映画化されたが、主人公は成海璃子と北乃きいが演じたが、まさにその二人が小説の中で躍動している感じがした。本当にぴったりな感じがする。剣道を極めようとする女性剣士に成海璃子。あの、気合をかけて気迫いっぱいの顔をしていたところなんか、すぎく良かったし、日本舞踊をやっていたために、足さばきがちょっと特殊でそのために案外強い剣士だった女性に北乃きい。強さとほんわかさがぴったりな気がした。この二人がまさにこの小説の中でも動いている気がした。あくまでも私の感想なのだが。
ちなみに映画は一点を覗いて非常に良かった。残念だった点は成海璃子が北乃きいとの勝負のために裏山までを走って移動するのだが、その走りが全然ダメだった。明らかに運動不足の女性の走りなんだよね。そこだけ、高校生の部活の走り方を真似て全力で走っている姿だったら良かったのに。
そこを差し引いても青春映画としては非常に良かったと思う。

武士道ジェネレーション
武士道ジェネレーション誉田 哲也

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闘う君の唄を

中山七里著『闘う君の唄を』読了
題名から曲名がすっと分かる人は45歳くらい以上なんではないかな。中島みゆきさんの『ファイト』の一節だ。著者もこの曲にインスパイアして書いたということがあとがきに書かれている。
主人公は新たに幼稚園に新任で赴任した女性。入ってすぐに年少組の担任となる。この幼稚園は過去に園児の連続殺人事件が起こった歴史があり、実はこの主人公は・・・・。
なんでこの幼稚園に希望して入ってきたのかということもあるし、連続殺人事件もなんとなくしっくりこないところもある。そんな伏線をつなぎ、最後にはあっと驚く事実が解明され、この連続殺人事件の意外な真犯人が判明する。
なかなかおもしろいミステリーだった。さらに私にとってはこの『ファイト』という曲はいい歌だと思うので、余計に面白い小説だった。この曲はいろいろな人が歌っている。吉田拓郎さんだったり、福山雅治さんだったり。Youtubeで検索すると吉田拓郎さん+イラストレーションの曲が出てくる。これがまたいいんだわ。一度聞いてもらいたい。

闘う君の唄を
闘う君の唄を中山七里

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総理にされた男 ハーメルンの誘拐魔 ヒポクラテスの誓い ユートピア Aではない君と

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和僑

楡周平著『和僑』読了
プラチナタウンの続編。
過疎地域にある町で箱物行政のつけで財政破綻になりそうな状況を定年になった人たちを迎え入れるプラチナタウンを取り込んだことで町に活気と人が増えてよかったというのは前作の状況。
そこからさらに街の発展を考えた場合に、同じタウンを増やすべきなのか別の方法を取るのか。設備は一度作ったら、50年は使わなければならない。だが、高齢者はあと20年もすれば減少に転じる。(この統計が真実なのかはわからない。どこかにこんな予想があるのだろうか。)そうだとするとタウンの拡張は前の箱物行政と同じでツケが回ってくるだけ。
また、農業人口の高齢化も非常に問題。あと10年もすると農業をやる人はいなくなるかもしれない。かくゆう私も兼業農家の一人。正確には趣味で米作りしている。自分家族と少しの親戚に食べてもらうためのコメを少しだけ作っている。おそらく労力だとか機械の原価などを考えたら買った方が安いかもしれない。土地の固定資産税分も稼いでいるかどうか。そのような農家が私の周りでもたくさんいる。みんな年をとって後継者がいない。誰もやらなくなって耕作放棄されてしまう。そんな感じなんだ。TPPで大騒ぎしているが、そもそも農業に将来性を見出している人がどれだけいるか。農協も頭の固くなった変化を許容しない組織になってしまっている。このままではゆでガエルになるだろう。
そんな街の状況を農業の再生と合わせて解決しようとしたのがこの話。海外に出て行って新たな食の展開をしようと。華僑のように日本人も海外に出て行って図太く生きるのだと。まあ、なかなかおもしろい話だ。おそらく著者の言うように人口が減る中で高齢者人口も減るのだろう。全体が収縮してしまう社会が訪れる。その時日本はどうすればいいのか。今までも高齢化社会になることは統計からわかっていたはずなのに何も手を打ってこなかった。人口が減少し、高齢化社会となってから、各地で過疎化対策とかやってる。そして、揃いもそろってどの市でも、うちは大丈夫で人口は減らないか増えるなんて予想をしている。そんな訳があるわけがない。努力しなければ人口は減るのだ。当たり前だ。こんなに高齢者が増えている反面、子供が少ないのだから。こうなることはある程度予想されていたのだけど、結局なんの対策はしていなかったのだ。
現実的に考えなければならないのだ。一億層活躍社会ってあやふやな表現では何も変わらない。今が良ければいいのではないのだ。みんなで考えなければならないのだ。

和僑
和僑楡周平

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プラチナタウン (祥伝社文庫) 当確師 砂の王宮 下町ロケット2 ガウディ計画 蛮政の秋

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3時のアッコちゃん

柚木 麻子著『3時のアッコちゃん』読了
ランチのアッコちゃんの続編。短編集
前作もそうだったが、都会に住むOLさんや就活生をほっとさせるほっこりしたお話が4本。
なんだろう。非常に現実感のある設定と状況描写がまさにありそうな感じで、しかも必ずハッピーエンドになる。読み終わってほっこりするいいお話ばかり。
これっていかにもありそうな設定と人物が非常にイキイキしている。どこかでこんな風に助けてくれるお姉さんがいたらありがたい。ブラック企業に勤めていて、毎日満員電車で会社に行くのが嫌で嫌でたまらない人には読んでもらいたい。確かにこんな都合のいいお助けお姉さんはいないとは思うけど、要は考え方次第だということを教えてくれる。やり方はいろいろある。もっと楽にできることはある。工夫をすればいいのだ。今を生きるすべての人に力を与えてくれるほっこりできる小説だ。
続編を期待する。

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3時のアッコちゃん柚木 麻子

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総理にされた男

中山 七里著『総理にされた男』読了
面白い設定の小説。
主人公は売れない演劇をやっている劇団員。容姿がたまたま時の総理大臣に似ていることもあって、劇団の前座でちょっと喋ったりしていた。その男が拉致され、官房長官のもとに連れてこられ、総理大臣の代役をやることになる。本物の総理大臣は急病で意識不明の状態という設定。
急に総理大臣の職につけって言ったってそう簡単にできるもんじゃないと思うもんだが、要は大概のことは周りが決めていて、あとは良きに計らえって言っていればいいと。そうでもないとは思うのだが、まあ、お役人がある程度やってくれるのでなんとかなるのかもしれない。
そんな感じで始めてみたものの、本物は途中で亡くなってしまい、そのまま総理大臣を続けることになる。その後、後に引けなくなったのと、総理大臣という立場でちょっと政治家的でないこともやりだしたり、庶民感覚を出してみたりといろいろ面白く政治に関わるようになる。
政治家なんて裏でドロドロしているのではないかと思ってしまうが、結局は交渉事で相手の考えを上手く引き出し、こちらに有利になるようにまとめることがうまいかどうか。理想ばかり言っていたってダメだけど、夢がなければ人はついていかない。その夢をいかに共感させられるか。大多数の賛成はOKだけど、少数の面倒くさい反対派が結局一番大変で、声の大きい人に引きずられて対局を見失うことが多いように思う。やっぱり大多数の幸福のためには少しの苦労と犠牲はしかたがないのではないかと思うのだが。

総理にされた男
総理にされた男中山 七里

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闘う君の唄を ヒポクラテスの誓い 嗤う淑女 犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼 孤狼の血

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いちから聞きたい放射線のほんとう: いま知っておきたい22の話

菊池 誠 小峰 公子著『いちから聞きたい放射線のほんとう: いま知っておきたい22の話』読了
どこかの書評で出ていたので。
対談集の形をしている。著者のお二人のうち、男性は科学の得意な方、女性はあんまり放射能に関する知識のない方。このうち、放射能について知らない女性の方が男性に教えてもらうという感じで対談している。わからないことを物怖じせずにとことん聞いているので、こちらとしてもそこまで聞くかと思うくらい聞いてくれて、それで逆に納得できる内容になっている。こういう本を最初に読んで知識があれば、それほど放射能のことを闇雲に怖がらなくても良かっただろうと思ってしまう。
決して軽く考えろとか、福島の事故は軽かったなどというわけではなく、一般的な常識の範囲内で今回の福島の事故のあとの放射能について考えさせてくれる良い教材だと思う。正しい知識で正しく理解して、注意すべきことは注意しようとなる。
あの事故の直後は、それこそ黒い雨が降るだとか、放射能を浴びて死んじゃうとか、放射能が伝染るだとか間違った情報に踊らされていたように思う。今回、この本を読んで自分の体の中で放射性カリウムによる内部被曝を少しずつはしているのだということを教えてもらった。これは福島の事故が原因ではなく、食物連鎖の中で摂取していく必要な物質であるカリウムの中にある割合で放射性のものが含まれていて、それはどうしようもないことなんだということがわかった。だからといって、放射性セシウムも大丈夫だなんて言うつもりもない。でも、そういう今の地球に生きているんだから仕方がないところもあるってことだ。
一度読んでおいても、損はない。ただしく怖がろうということ。

いちから聞きたい放射線のほんとう: いま知っておきたい22の話 (単行本)
いちから聞きたい放射線のほんとう: いま知っておきたい22の話 (単行本)菊池 誠 小峰 公子 おかざき 真里

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やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識 知ろうとすること。 (新潮文庫) 放射線被曝の理科・社会 原発事故と放射線のリスク学 はじめての福島学

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