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その手をにぎりたい

柚木 麻子著『その手をにぎりたい』読了
たまたま手にした本だったが、予想外に面白かった。じっくり味わって読めた作品。
舞台はバブル期の前後の東京。とあるお寿司屋に上司に連れられて行ったことから、はまってしまった主人公のOLが一話ごと出世して、そのたびごとにお寿司屋に出かける。それが連作となった短篇集。
お寿司屋で知り合いとなった老人に立ち退きの交渉に行くなど、バブル期にはあったなぁと懐かしく思う。また、土地や物件を右から左に動かすだけで儲かった時代をうまく表現している。
お寿司屋が回転寿司に押されて、寿司というものは昔からの寿司とも言えないようなものと高級すぎてちょくちょくは行けない店に二極分化されてしまった。おそらく、この物語に出てくるようなお寿司屋に行けばカウンターの中の板前さんと会話をしながら、美味しいお寿司を摘むなんてことができるのだろうけど、庶民には高嶺の花になってしまったかな。
ちなみに甥っ子がひとり寿司屋で修行中なので、今度握ってもらおうかな。
そんな気分にさせられた小説だった。さわやかな読後感。

その手をにぎりたい
その手をにぎりたい柚木 麻子

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