土漠の花
月村 了衛著『土漠の花』読了
話題となっている小説だということで期待を持って読み始めたが、期待通りかそれ以上。今年の自分のベストテンに必ず入る内容だった。
ソマリアに海賊対策の後方支援で派遣されている自衛隊が舞台。アメリカ軍のヘリコプターが墜落したということでその調査に部隊が派遣される。そこで部族争いから逃れてきた女性を保護する。女性を殺害しようとする部族と女性を守ることとなった自衛隊員。いきなり隊員と隊長が殺される場面から始まり、ひたすら逃げながら、部隊の拠点まで移動することになる。途中は本当に戦争の場面。そこで自衛隊員は戦闘を行わなければならなくなるのだ。人を撃ったことのない隊員が自分と味方を守るためにしてを殺さねければならない場面が来る。
戦後70年、戦争というものに関わったことのない自衛隊員は戦争ができるのか。人を殺せるのか。相手も殺しに来ているので、究極の自己防衛だが、守っているだけでは殺されるだけだ。だから、先制攻撃だってやらなければならない。どこまでが防衛行為かなんて無駄な議論だ。世界にはそういった場所がいっぱいある。自衛隊をそういった場所に派遣するということはそこで守るために人殺しを行えってことだ。それはそこに行ったからってことにとどまらない。やられたらやり返されるのが世の中の道理だ。だから、テロとの闘いにまるまる巻き込まれてしまっている時代に生きているということ。
そういったことを思い起こしてくれた。
物語は非常にスピーディーに展開するため、一気に読めてしまう。話もうまいし、展開もいい。
良い小説を読んだ。そして考えさせられる。
土漠の花 | |
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