« 2014年8月 | トップページ | 2014年10月 »

ミッション建国

楡周平著『ミッション建国』読了
現代の政治を題材に今の日本の問題を解決しようとした作品。
壮大な課題だらけなので、いい解決もなかなかないが、こうなることは昔から想定されていただけに、この10年ほど政争に明け暮れてまともな政治をやってこなかった自民党などの人たちに反省を込めて書いているのではないか。
主人公は青年政治家で親も政治家の二世である。こんな家系で政治家になる国もそんなにないだろう。親が政治家なら子が政治家になるのも変だ。世襲制でもないのだし。優秀ならまだまし。そうでないから困る。
少子高齢化など、今始まったことでもない。昔から平均寿命の上昇と出産年齢の高齢化でちゃんと予想されていたはず。年金が破綻するのだって、予想できたはず。国債の借金漬け体質だって、その時々でこれじゃあまずいと思っていたにも関わらず、やってきてしまったものが積み重なっただけ。今の政治状況ではこれらは打開できないだろう。民主党に一瞬期待したのは、自民党が長年続けてきたものを少しはマシにしてくれるのかと思ったのだけど、役人がついてこれなかっただけ。役人を簡単にやめさせることができるなら、もうちょっとマシになっていたかもしれない。
それもこの特異な労働環境がある。一度雇用したら簡単にやめさせることが出来ないこの国の体制が、すべての保守化、固定化につながっている。これで世界と戦うのは非常に難しい。じゃあ簡単にやめさせることができればいいかというと、それじゃあいらない人が溢れてしまい、困った状況になってしまうだろう。どう、ソフトランディングをするか。抵抗勢力だらけだろうし。
でも、こういった課題もあるのだが、今の政権は集団的自衛権が重要だと思って、閣議決定とかしちゃってるし。確かに中国の脅威はあるけど、こういった武力で均衡を保つのは難しいのだはないか。そもそも中国だって本気で攻めてくるなんてことは自分を破滅させるだけなんだから、そんな馬鹿なことはしないはず。まあ、国が崩壊するくらいの混乱が起きればわからないけど。
うまい解決はないのか。どうなんだろう。このままでいいと思っているわけではないが、なにか手を打とうにもいろいろ問題がありそうで。そう行っている間に、円安になって国債が暴落して悲惨な目になるなんてことはないのだろうか。
平和な国ニッポンは永遠につづくわけではないだろう。

ミッション建国
ミッション建国楡周平

産経新聞出版 2014-06-28
売り上げランキング : 166975

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
アンダーカバー 秘密調査 介護退職 (祥伝社文庫) そして奔流へ 新・病葉流れて 雨の狩人 翼、ふたたび

| | コメント (0) | トラックバック (0)

八月の六日間

北村 薫著『八月の六日間』読了
内容は山登りの記録である。しかも、単独行のそれほど厳しくない登山の様子を書いている。でも、著者にかかると珠玉の作品に変わってしまう。
最初に書いた通りだ。登山の準備から、どうやってルートを決め、登山口に辿り着き、山をどう攻めて登ったか。そう苦しい山登りだけではない。途中の山小屋での食事や休憩、そういったものから、ちょっとしたエピソードやそれこそ山登りに全く関係はない話を織り込みながら、時間は経過する。それを読んでいくだけなのだが、非常に濃密な読書時間を作り出してくれた。
続きを読みたい。まだまだこの感じで山登りを書けるでしょ。それか、旅行記でもいい。きっと読み応えのある話を書いてくれるはず。次にも期待したい。

八月の六日間
八月の六日間北村 薫 謡口 早苗

KADOKAWA/角川書店 2014-05-29
売り上げランキング : 12186

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
山女日記 飲めば都 (新潮文庫) 鷺と雪 (文春文庫) 明日の子供たち 荒神

| | コメント (0) | トラックバック (0)

生存者ゼロ

安生 正著『生存者ゼロ』読了
このミス大賞受賞作。結構面白かった。
北海道の海上油田の採掘現場から連絡が不通となり、自衛隊の特殊部隊が調査に向かう。部屋の中では血だらけで亡くなっている人だらけで、全員死亡。未知の病原菌による感染症が疑われた。
調査の結果、油田採掘にあたって地下深くの層から未知のウイルスを掘り出してしまい、これがシロアリに寄生し、通常の木ではなく人を襲うようになった。そのシロアリが北海道を襲う。次々と立入禁止となる。政府はこの事態に対処能力がなく、道知事に対処を丸投げ。自衛隊とともに制圧に向かう。
結末はあっけないが、震災後に作られたこともあり、政府のパニックに対する無能力状態を書いている。たしかにそうだ。次に何らかパンデミックとか原発事故が起きたとしても、政府はちゃんと対処ができるのだろうか。福島の事故からなにか学んだのだろうか。
まあ、フィクションにそこまで入れ込んでも仕方がないが。
結構面白かった。ちょっと結末にはあっけにとられるが、まあ、読み物としては面白かった。

生存者ゼロ (『このミス』大賞シリーズ)
生存者ゼロ (『このミス』大賞シリーズ)安生 正

宝島社 2013-01-10
売り上げランキング : 11057

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ゼロの迎撃 (「このミス」大賞シリーズ) ギフテッド 秘密結社にご注意を 一千兆円の身代金 血の轍

| | コメント (0) | トラックバック (0)

御子を抱く

石持 浅海著『御子を抱く』読了
ミステリーのジャンルに入るのだろう。
冒頭から奥歯に物が挟まった感じで語られるが、そこをあえて書かずに、うまくまとめていると思う。
新興宗教ではないが、一人の優秀なサラリーマン管理職がなくなり、そのカリスマ的な管理職に関わった人たちみんなが、その人をある意味信仰してしまい、そのグループができている。一周忌を行うということで、その取りまとめをしている最中からグループの中の対立が生じ、そんな中で交通事故でグループの長老的な人がなくなる。これによってグループ内の均衡が崩れ、最後には殺人事件も起きる。
その中で途中で出てくる御子の存在。それはカリスマの一人息子なのだが、事故があったことによって冷凍睡眠装置に入れられている。この御子をどうやって自分たちに引きこむか、駆け引きと殺人が起きる。
新興宗教としなかったところが面白い。実態は新興宗教みたいなものなのだが。そこにシンボルがあり、三種の神器みたいなもの。それを誰が持つかでグループ内の覇権争いが起きる。面白いシチュエーションだ。それを非常に面白く書いている。
このミス上位間違いなし。

御子を抱く
御子を抱く石持 浅海

河出書房新社 2014-07-14
売り上げランキング : 119618

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
相互確証破壊 さよなら神様 二歩前を歩く ナイト&シャドウ 蜂に魅かれた容疑者 警視庁総務部動植物管理係

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ロング・グッドバイ

レイモンド・チャンドラー著『ロング・グッドバイ』読了
名著。一度途中まで読んだのだけど、途中で挫折してしまい、再度しっかり読んでみた。
翻訳を村上春樹氏が行っていることもあって読みやすい。
話の内容としてはすでにいろいろなところで出ているので、あえて書かないが、この小説または翻訳物を読んだ日本の作家が、同じようなテイストで書かれている。確かに日本特有なことも多いので、本家のこの小説と比べるのは難しいが、最初に探偵ものを出した本家本物といっていい小説の素晴らしいところはいっぱいある。
日本では探偵がこの小説のような探偵として生きていけるようなこともなかっただろうから、どんどん薄暗い小説になっていってしまったように感じるが、現代ならまた違う感覚もある。今読むのなんとなく納得してしまうのは時代がたってアメリカ的になってきたということか。
いやー、やっぱり名著。今回、しっかり読みなおしてよかった。

ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)
ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)レイモンド・チャンドラー 村上 春樹

早川書房 2010-09-09
売り上げランキング : 4703

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
さよなら、愛しい人 (ハヤカワ・ミステリ文庫) リトル・シスター (ハヤカワ・ミステリ文庫) 大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫) グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー) ロング・グッドバイ〔東京篇〕 (ハヤカワ文庫 JA ツ 3-1)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ガレキノシタ

山下 貴光著『ガレキノシタ』読了
別のシリーズを読んでいたので、こちらも手にとった。なかなか良かった。
原因不明の事故で高校の校舎が崩壊してしまう。そこに取り残された生徒などを連作短編として書きつないだ作品。
まさに瓦礫の下に取り囲まれ、救出を待つ間に他の生徒のことを思ったり、生活の中のことを思い出したり。一人の生徒がづっと出てくるが、彼も瓦礫に挟まれてしまっている。
なんか切なくなるが、こういったことが起きる状況もあるんだろう。さすがに外国の違法建築ではないので、日本の建築基準法で設計や建設された建物がそう簡単に壊れることはないのだろうけど、大地震が起きたらこういったことも起きても不思議ではない。こういった状況を作り出し、それぞれの話をつなぐ。面白う設定だ。けっこう面白かった。

ガレキノシタ
ガレキノシタ山下 貴光

実業之日本社 2012-07-19
売り上げランキング : 556819

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
転がる空に雨は降らない イン・ザ・レイン シャンプーが目に沁みる 有言実行くらぶ (文芸社文庫 や 1-1) 大事なことほど小声でささやく

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2014年8月 | トップページ | 2014年10月 »