原発ホワイトアウト
若杉 冽著『原発ホワイトアウト』読了
話題の本だったので。
3.11後の電力業界をめぐる状況をほぼ実態として表している。
実際に利権がからむとそこに依拠している人たちはしがみつく構造となるのは必然であり、国会議員の一票の格差是正ができないのは当たり前のこと。さらに上からどかんとおとしてつぶす役割のものがないと内部から痛みを伴う改革などできるはずがない。
今の日本の官僚の役割や組織構造は戦後の長い政治形態のなかで培われてきたもので、もはやいろいろなところで絡み合っており、簡単に崩すことが出来ない状況なのだろう。今回の震災はもしかしたらその構造自体を変えるチャンスだったかもしれないが、結局はお上は決められたことはしっかりできるが想定外ことが起きた場合には全く機能できなかったことを露呈しただけだった。
残念ながら、いまこの日本に生きている国民としてはこの状況下で生きるしかない。もしかしたら、憲法を改正して、軍隊を持ち、徴兵制を復活することだって出来る状況になっている。首相がそう決断すればいいだけだから。なんかこれでいいのかと思ってしまうけど、世の中は戦後のレジームがそのまま続くと思っているのだ。いつも転換点に来ていると思ってしまうが、未来に過去を振り返ってみたら、ここがそうだったかもしれない。
最後のエピソードで原発の手前のいくつかの鉄塔が爆破されて全交流電源損失が起きることを示しているが、本当に鉄塔って大丈夫なのかな。今回福島では土砂崩れで鉄塔が倒れたことによって交流電源が喪失し、そのあと津波でやられてしまったのだけれど、その辺りの検証をもっとしっかりするべきではないのか。過去から学べるものがもっとあるのではないかと思ってしまう。
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