カウントダウン・メルトダウン
船橋 洋一著『カウントダウン・メルトダウン』読了
上下巻の長いノンフィクションなので、ちょっと時間がかかった。
著者は福島第一原発の事故で民間事故調査委員会で報告書をまとめた方だ。非常に膨大な資料を様々なテーマごとに切り出して、この本では読みやすくまとめておられる。ただ、内容が膨大なので、様々な事柄の関連があって、当然ながら時系列はテーマごとに異なるので、なかなか一貫して読めなかった。それだけ膨大な事柄が絡んでいるということだ。
全体を通して、いろいろな関係者のかかわり合いがあったことがよくわかる。一番問題視しているのは役所の縦割りの弊害と責任のなすりあいだろう。SPEEDIで解析をやっているにもかかわらず、その情報が官邸には伝わらなかったり、アメリカ側も情報の取得がうまくいかず、思うような協力が得られなかったり、逆に少ない情報の中で50km以内のアメリカ人に避難指示を出したり。
なかでも、所長であり、先日亡くなられた吉田さんの功績については書いておられる。吉田さんが福島第一の所長だったので、うまくいった面もあり、ただ、事前の対策という面では津波対策が出来ていなかったことに対する責任の一端も書いている。功罪両面あるということだろう。でも、あの事故当初の何日かの対応についてはよくやられたと正直思う。
また、菅総理についても評価している。ある意味、覚悟を決めた菅さんだったから、あそこまで出来ただろうし、それまでの自民党で1年で政権をほっぽり出してしまう人たちだったら、東京電力を怒鳴れないだったろう。こちらも功罪両面あるのは確かだ。
まだまだ事故は終わったわけではなく、今の汚染水の漏洩など綱渡りというかすでにどうしようもないところまで来ているのかもしれないが、日本人として責任を感じて、今後40年を過ごしていかなければならないだろう。
カウントダウン・メルトダウン 上 | |
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