神様のカルテ
夏川 草介著『神様のカルテ』読了
なかなかベストセラーや流行の小説をその時期に読むことはないのだが、この本はその時期に読んでおけば良かった気がした。もっと早く読みたかったな。
主人公は地方の中核病院の消化器官系の医師だ。結婚1年目。下宿みたいなところに住み、奥さんは写真家。
地方の中核病院として、想像を絶する多忙な勤務をやりつつ、患者と向き合いその病院を愛し、患者を愛し、妻を愛し、友人を愛する。なかなかできることではなかろう。
大学病院からの誘いもあるが、いったんは患者と向き合うことを選択する。
不覚にも最後の話を読んでいて涙してしまった。そのくらいいい話だった。
医療が崩壊している話はすでに過去のことであり、もはやどうしようもない状況まで行ってしまっている。そんななかで、患者と向き合う病院、医師は貴重だ。医者が増えていないことはないのだろうけど、それ以上に高齢化が進んでしまって、患者となる人が増えてしまっている。今の医療の状況をたとえ話で話してくれた人がいた。
川で上流から溺れかかっている人が次々と流れてくる。医師はその流れてくる溺れかかった人たちを必死に救おうとしている。当然、救えない人もいるだろう。がんばって助けているが限度もある。でも、その大元には上流で溺れてしまう人たちがたくさんいるということだ。それを減らさなければ医師はいくらいても足りない。
要は医者に行かない体を作る。少しのことで医者に行かないように普段からの健康管理が大事なのだ。そういう意味では毎朝のラジオ体操とか地区を散歩するとか普段からの運動が大事なのだ。そうはいっても自分も出来ていないのだが。
この小説はそういった状況もふまえた現代の地方中核病院での出来事をうまく書いて読ませている。続編も楽しみだ。
映像化もされているとか。どうなんだろう。半分楽しみではあるが、この小説の世界にどこまで近づけているか。
神様のカルテ | |
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