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東京難民

福澤 徹三著『東京難民』読了
たまたま題名に引かれて手に取った本。あまりに面白くて一気に読んでしまった。そして、身につまされる。
主人公は三流私立大学に通っていた男子大学生。夏休みを終えて大学に行くと除籍されているとの連絡があり、父親が学費を払い込んでなかったと。あわてて親に連絡をするも連絡が取れず、実家に帰ってみると勤務先の事務所はもぬけの殻。実家もすっかり片付いていた。
親からの仕送りが無くなって、一気に貧困生活に陥る。日払いの仕事を探して、チラシの配布、教材の通信販売の勧誘などを行うがうまくいかず、そのうちの家賃の滞納でアパートから追い出されることに。まさにホームレスになってしまう。
お金があるうちはネットカフェに行っていたが、そのうちに治験のバイトを見つけ、10日間で20万を手に入れるが、気が大きくなってその日のうちに女にだまされホストクラブで散在、結局ホストのバイトになる。
その仕事もしまいには借金をつまれ、あわや中国送りとなるところを友人に救われ、なんとか元住んでいた近所で本当のホームレスになってしまう。そこで、幸せとは何か、この先どう生きるのかを考えるところで終わるのだか。
本当に身につまされる。お金がなくなったら、一気にこうなってしまうかもしれないという現実感が漂っている。ホームレスも楽じゃないし、日銭稼ぎは楽じゃない。土方なんかが日雇いの代名詞かと思ったが、最底辺にいる人たちはすごい生活しているのだと改めて思った。今の生活があるのも、こうして暮らしていけるのもある程度の財産と親がいるから。なんかのためにお金はためておかなきゃいかんのだと改めて思った。
大学生くらいの年代の人にはぜひ読んでもらいたい小説だ。

東京難民
東京難民福澤 徹三

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