« 2013年2月 | トップページ | 2013年4月 »

月と詐欺師

赤井 三尋著『月と詐欺師』読了
舞台は昭和初期。主人公の一家は悪徳商人にだまされて、家業を廃業させられ、自身の姉を身売りさせられ、そして自殺に追い込まれた。復讐に燃え、この悪徳商人をだまして破滅に追い込むためのコンゲームが始まる。
コンゲームではいかに相手をはめるかということが大事となる。単にだますだけでなく、相手の会社を破滅に追い込むことまで画策する内容は結構おもしろかった。ある意味勧善懲悪なので、うまくだます側とだまされる側を書き分けるだけだが、そこはドラマなども手がけている著者が非常にうまくて、物語に入り込むことが出来た。映像化できる小説だ。

月と詐欺師
月と詐欺師赤井 三尋

講談社 2010-10-22
売り上げランキング : 637495

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
翳りゆく夏 (講談社文庫) 天使のナイフ (講談社文庫) 悪党 (角川文庫) 火の粉 (幻冬舎文庫) バベルの末裔 (講談社文庫)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

シャッター通りの死にぞこない

福澤 徹三著『シャッター通りの死にぞこない』読了
気に入った作家は立て続けに読んでみる主義なので、手に取った作品。
意外に面白かった。
金貸しの下っ端が上に逆らって金を奪って地方都市に逃げ込む。そこは寂れに寂れた地方都市。どうしようもないシャッター通りだが、そこに潜り込んで活性化に手を貸すことになる。
その状況で始まるドタバタ劇を描いているが、今や日本中こんな感じだろうね。都会がいいというわけではないが、地方はどんよりしているね。せいぜい大型スーパーが進出できるだけの土地があるところならいいのだけど、ヘタに商店街とかあるとどうしようもない。今や商店街とかなんとか通りというのは記念物と化している。
時代の流れだけど、本当に商店が無くなってみんなアマゾンで買う様になったらどうなんだろう。そのときに送料無料をやめちゃったりしてさ。聞くところによればアマゾンは一部の商品では仕入れ値以下で販売しているとか。どうやってもうけているのかよくわからないが、物量作戦で他の店がみんなやめてしまうまで戦って、独占状態を作り出してそのあと儲けようとしているのか。
地方にもちゃんと住んでいる人もいれば、案外住むのも楽なことも多い。それが過疎化になってしまうと日本全体としては負担が増えちゃうんじゃないかね。
いろいろ考えさせられる。この本はそんなに重い話ではないけどね。

シャッター通りの死にぞこない
シャッター通りの死にぞこない福澤 徹三

双葉社 2012-03-21
売り上げランキング : 239017

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ジューン・ブラッド 東京難民 壊れるもの (幻冬舎文庫) 俺たちに偏差値はない。―ガチバカ高校リターンズ すじぼり (角川文庫)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

リカーシブル

米澤 穂信著『リカーシブル』読了
なかなか意味深なミステリーだった。インシテミルなどと同様に独立したミステリーだ。
主人公は女子中学生。父親が破産して、母親が離婚して地元に引っ越してきたところから始まる。実は母親は再婚だったため、この子とは血がつながっていない。血のつながらない小学生の弟がいる。
全体にくらいトーンで主人公の一人称で語られている。
弟が未来を予言するような話をしたことから、それを学校の先生に相談するとその地方に伝わる女性の民話を紹介される。その中には女性が生け贄のような形で亡くなり、そして悪者が自殺するという奇妙な話。
その地方では高速道路の誘致計画があったが、それが頓挫してすっかり忘れ去られた地区になってしまっていた。そして、その高速道路誘致の際にも招かれた大学教授が死亡する事件があり、誘致計画を記録したデータが無くなっていた。
そんな事件に主人公は巻き込まれ、意外な犯人が見つかる。

リカーシブという題名に引かれたが、この用語は一般的ではないだろうね。システム開発とかプログラミングなどをやったことがあり、C言語の教習を受けた人なら必ず聞いているはず。プログラムの中で自分自身を呼び出す形で再帰的に処理を行うときに使われる。終了条件を書いておかないと単なる無限ループになってしまうが、画期的に簡単に処理が行われることに感動した記憶がある。うまいことを考える人はいるもんだ。アルゴリズムを勉強するのは大事。
ただ、この題名と内容が一致するのかはよくわからない。

リカーシブル
リカーシブル米澤 穂信

新潮社 2013-01-22
売り上げランキング : 20917

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
夜の底は柔らかな幻 上 私の嫌いな探偵 夜の底は柔らかな幻 下 笑うハーレキン 届け物はまだ手の中に

| | コメント (2) | トラックバック (0)

検証 福島原発事故 官邸の一〇〇時間

木村 英昭著『検証 福島原発事故 官邸の一〇〇時間』読了
東日本大震災から2年。まだ終わらない福島第一原発での事故処理について、その最初の数日の原発の現場ではなく、官邸でどのようなことが行われていたのかを証言やメモから真実を明らかにしたルポルタージュ。
非常に丹念に関係者に証言を求めて、あのとき何が行われ、何が行われなかったかを明らかにしようとしている。これを読むと、いかに官僚側、関係する行政側が無力だったかがわかる。そもそも行政などは過去に行われたことを同じ様に行うことには力を発揮するのだが、新しいことをやるのには全然だめだ。今回の事故はまさに今まで起きなかったことに対する対応で、だれもどうすればよいかがわからなかった。そんななかで首相をはじめ官房長官、首相補佐官、経産大臣などの関係者はある意味よくやった方ではないか。結果論として、間違った判断になったこともあるかもしれないが、あのような大災害のなかですべてが正しい判断なんて出来るもんではない。そもそもの状況を作り出したのはこの40年もの原子力行政だ。関係者は反省をしなければならないし、刑事告訴されてもおかしくないだろう。
先日NHKでも放送していたが、福島第一原発の一号機の非常用冷却装置は作られてから40年間一度も動かしたことがなかったと。動かしたことがないから、動いたらどうなるかもわからない。動いているかどうかも確認できない。そんななかで作業にあたっていたので、間違った対応になってしまったのかもしれない。本当に訓練というものは大事だ。練習していないものは本番ではうまくいくはずがない。それを奇しくも証明してしまったようなものだ。万が一のことを考えて、訓練はしておかなければならない。
今回の地震、津波が100年に一度の災害なのか、1000年に一度の災害なのかわからないが、おそらく自分が生きている間にせいぜいあと1回あるかないかのことだろう。でも、もしものときにちょっとのことでもわかっていたら正しい、いやより良い判断ができるかもしれない。そのためには、その時のことを想像して備えねばならないだろう。今回のことは我々にとって大きな教訓にしなければならない。

検証 福島原発事故 官邸の一〇〇時間
検証 福島原発事故 官邸の一〇〇時間木村 英昭

岩波書店 2012-08-08
売り上げランキング : 33329

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
原発危機 官邸からの証言 (ちくま新書) 検証 東電テレビ会議 4つの「原発事故調」を比較・検証するー福島原発事故 13のなぜ? 東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと (幻冬舎新書) 国会事故調 報告書

| | コメント (0) | トラックバック (0)

奇談蒐集家

太田 忠司著『奇談蒐集家』読了
短編集。
新聞広告で奇談を募集し、自分の経験した奇談を話すと報酬になるということで、とあるバーに招待されて体験談を話す。その話が本当に奇談なのか、実際には裏のある話なのかを判定され、ほとんどの話が解説されてしまう。
ミステリーとしてもそこそこのレベルになっている短編で案外おもしろい。解説されると不思議な話が実は真っ当な話になってしまうところも面白い。

奇談蒐集家 (創元クライム・クラブ)
奇談蒐集家 (創元クライム・クラブ)太田 忠司

東京創元社 2008-01
売り上げランキング : 780555

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
もっとミステリなふたり 誰が疑問符を付けたか? (幻冬舎文庫) 落下する花―“月読” (文春文庫) 大きな森の小さな密室 (創元推理文庫) 月読 (文春文庫) ミステリなふたり (幻冬舎文庫)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

東京難民

福澤 徹三著『東京難民』読了
たまたま題名に引かれて手に取った本。あまりに面白くて一気に読んでしまった。そして、身につまされる。
主人公は三流私立大学に通っていた男子大学生。夏休みを終えて大学に行くと除籍されているとの連絡があり、父親が学費を払い込んでなかったと。あわてて親に連絡をするも連絡が取れず、実家に帰ってみると勤務先の事務所はもぬけの殻。実家もすっかり片付いていた。
親からの仕送りが無くなって、一気に貧困生活に陥る。日払いの仕事を探して、チラシの配布、教材の通信販売の勧誘などを行うがうまくいかず、そのうちの家賃の滞納でアパートから追い出されることに。まさにホームレスになってしまう。
お金があるうちはネットカフェに行っていたが、そのうちに治験のバイトを見つけ、10日間で20万を手に入れるが、気が大きくなってその日のうちに女にだまされホストクラブで散在、結局ホストのバイトになる。
その仕事もしまいには借金をつまれ、あわや中国送りとなるところを友人に救われ、なんとか元住んでいた近所で本当のホームレスになってしまう。そこで、幸せとは何か、この先どう生きるのかを考えるところで終わるのだか。
本当に身につまされる。お金がなくなったら、一気にこうなってしまうかもしれないという現実感が漂っている。ホームレスも楽じゃないし、日銭稼ぎは楽じゃない。土方なんかが日雇いの代名詞かと思ったが、最底辺にいる人たちはすごい生活しているのだと改めて思った。今の生活があるのも、こうして暮らしていけるのもある程度の財産と親がいるから。なんかのためにお金はためておかなきゃいかんのだと改めて思った。
大学生くらいの年代の人にはぜひ読んでもらいたい小説だ。

東京難民
東京難民福澤 徹三

光文社 2011-05-19
売り上げランキング : 203949

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
すじぼり (角川文庫) Iターン (文春文庫) シャッター通りの死にぞこない 壊れるもの (幻冬舎文庫) ジューン・ブラッド

| | コメント (0) | トラックバック (0)

論理爆弾

有栖川 有栖著『論理爆弾』読了
シリーズ第三弾。
ちょっとこのシリーズは何が主題なのかわからない。まだ序章かもしれないが。
日本が北海道とそれ以外で分割統治されているという別世界の話。当然対立関係にある二つの国で、スパイやらテロやらも起きる。
そんな中で主人公の少女探偵が九州の山の中に母親の失踪の手掛りを探しにいく。ちょうどそのときにテロ騒動があり、トンネルが爆破されて陸の孤島となる。そこで連続殺人事件が起きる。
意外な犯人と意外な動機が明らかとなる。
どうも話の先が見えない。これからこの話はどう展開していくのか。母親を捜し、探偵としての仕事をし、成長していくことがこのお話の主題なのかな。
まあ、次も出たら読んでみるか。

論理爆弾
論理爆弾有栖川 有栖

講談社 2012-12-20
売り上げランキング : 84466

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 (カッパ・ノベルス) 江神二郎の洞察 (創元クライム・クラブ) 幻坂 0番目の事件簿 臨床犯罪学者・火村英生の推理 II ロシア紅茶の謎 (角川ビーンズ文庫)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

フライ・バイ・ワイヤ

石持 浅海著『フライ・バイ・ワイヤ』読了
ちょっと未来のお話。
高校にロボットがやってくる。病院から出られない少女がロボットを使って通学する。遠隔操作で動くロボットがやってきたという話。
ロボットの遠隔操作なんだから、実際にはどうやっているのかわからない。勉強もあえて学校に来なくてもできるのだろうけど、高校生活を送るという意味で通学する環境を作る。だから、試験もちゃんとやっているのかどうかを疑われてしまう。しかも進学クラスでトップの成績を取ってしまったりするものだから、疑われるのもしかたがない。
そんな中でロボットの周りで殺人事件が起きる。それはロボットが関係するのか、それとも普通の学園ものの動機なのか。なかなか考えさせられる話だ。
結局少女は昏睡状態だったのだが、手術を受けるところでおしまいとなる。
非常に面白いシチュエーションで、確かにちょっとあり得ないかもしれないけど、それをあり得なくない様に書いていく著者の才能はすばらしい。
ちなみに表題のフライ・バイ・ワイヤは飛行機などで、制御する系統のことをいう。今では機械制御・コンピュータ制御となってしまったから、爆撃機や戦闘機も遠隔で制御できてしまう。無人の飛行機が他国を攻撃するのに操縦士は自宅から通って、遠隔操縦室に入り、9時17時で仕事の様に出来てしまうということだ。ゲームを取り越えて恐ろしい時代となったものだ。

フライ・バイ・ワイヤ
フライ・バイ・ワイヤ石持 浅海

東京創元社 2012-11-29
売り上げランキング : 318887

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
届け物はまだ手の中に 煽動者 犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 (カッパ・ノベルス) 論理爆弾 リカーシブル

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年2月 | トップページ | 2013年4月 »