幸せの条件
誉田 哲也著『幸せの条件』読了
ミステリーではない。農業の話だ。
その昔自分も農産物の余り物または農産物自身をつかってバイオエタノールを作るのが有望ではないかとこのブログにも書いたことがある。実際には糖の分解、発酵のプロセスをコントロールするのが難しくて、実際の収量はそれほどいかないのだろう。でも、カーボンニュートラルを目指すとするなら、考える余地があるとは思っていた。
実際、この小説の冒頭に出てくるが、市場価格との兼ね合いが一番の問題なんだろう。要は、コストがよけいにかかるのだとしたら、誰もやってくれないということだ。米を作るのは比較的簡単なんだろうけど、それでも食用の価格と雑用の価格ははるかに違う。わざわざ雑用の米を作ってくれる人はなかなかいない。唯一あるのは今回の原発事故で食用の米を作れなくなってしまった福島の田んぼでバイオエタノール用の米を作るということかな。いっそのこと国の実験でこうした事業に取り組んでみたらいいのに。
この小説では事務職のOLが急に長野県に行けっていわれて、農家とバイオエタノール用の米を作る交渉をしろっていわれるところから始まる。その後、農業法人に入り込んで、米作りを学んでいくのだが、なかなかその描写が細かくて正確だ。そんななかで、農業や米作りを学び、日本人として東京に住んで企業に勤めて働いてお金を稼ぐのとは別の生き方もあるということを感じていく。
なんか夢を感じさせてくれる小説だわ。ドラマ化されるんじゃないかな。主人公は綾瀬はるかさんあたりで。
この、今の日本でこういったことができていったらすばらしいよね。うまくいけばカーボンニュートラル先進国になれるかもしれないしね。できないかね。
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