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震災後

福井 晴敏著『震災後』読了
書評で話題となっていたので、借りて読んだ。
割としっかりとした情報の元に、震災後の今をしっかり書いた小説。
主人公は中学生の男の子と小学生の女の子のいる関東近郊に住む父親。この父親が健在で、同居しており、昔は防衛省に勤めていて、退官となっている。
震災後、子供がPSTDとなり、ゴールデンウィークを利用して、家族で震災の片付けのボランティアに行ったりするのだが、逆に被災者に心を救われる情景はまさに今のことだろう。
そして、中学生の息子から『未来を返せ』と言われる大人たち。確かにこんな世の中にしてしまって申し訳ない気持ちになる。当面原子力発電所は再稼働できないかもしれない。それで、暮らしはどうなるのか。日本は資源のない国だ。もの作りで成り立っているとはいえ、要は加工をしているのだ。加工には電気がいる。その電気が十分に利用できない状況になってしまっている。
太陽光発電とかスマートグリットとかきれいなこと言っているけど、それらがまともになるのにはまだ何年もかかるだろう。しかも太陽光発電なんで安定しない電力は使うのが難しいだろう。まだまだ技術開発が必要だ。電気の効率的な貯蔵技術も必要だろう。太陽光なんて昼間の数時間しかまともに発電できないのだから。
これから10年くらい、非常に大変な世の中を暮らして行かなければならないのだ。そんな世の中にしてしまったいまの大人たちが、これからの世代に対して償いをして行かなければならないのではないか。

考えなければならないことはいっぱいある。やっていかなければならないこともいっぱいある。それなのに、大人の国会議員たちは時間ばっかり浪費して、前に進めない。恥ずかしくなる。
暫定策とともに、恒久的にフクシマを活かして行くことも考えないと。日本全体で考えなきゃだ。がれき処理でとやかく反対している場合じゃない。科学的根拠に基づいて話を進めなきゃ。
日本人は追いつめられるとすごい能力を発揮する民族ではなかったのか。
もっとずばっとやれないものかね。

震災後
震災後福井 晴敏

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