« 2011年12月 | トップページ | 2012年2月 »

消失グラデーション

長沢 樹著『消失グラデーション』読了
このミス六位。横溝正史賞受賞作品。
参りました。最初から、なんとなく違和感があったのだけど、なかなか読み解けず、違和感を持って読み続けていたものが最後にぱたぱたとつながって、あーそうだったのかと感嘆してしまった。
確かに最初のところを読んで、何度も登場人物一覧を確かめ、そんなことはなかろうと確認していったのだけど、作者の意図にまんまとはまってしまった。
舞台は高校のバスケット部。一人の少女が事件の最中に消えてしまう。どうなっちゃうのだろうと思いつつも、複雑な人間関係から、なかなか読み飛ばすことも出来ず、おかげで時間をかけて読んでしまった。
いやー、これは映像化できないでしょ。最初にネタバレしちゃうもんね。ミステリー小説はこういうことが出来るから魅力的なんだよね。
装丁の写真もいわくありげで魅力的。
ミステリー好きなら、絶対に読むべき。

消失グラデーション
消失グラデーション長沢 樹

角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-09-27
売り上げランキング : 73281

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア) ユリゴコロ 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド) メルカトルかく語りき (講談社ノベルス) 鍵のかかった部屋

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ハッピー・リタイアメント

浅田 次郎著『ハッピー・リタイアメント』読了
何となく手に取った作品ではあるが、結構面白かった。
冒頭エッセイ風の出だしで始まるが、この部分は実話らしい。
定年を間近に控えた公務員の天下り先でとある財務省の外郭団体で暇仕事を与えられた二人が、しっかり仕事をすることにより、3億円も回収してしまい、そのお金を使って定年後の暮らしを海外で迎えるというところで終わる。終わり方はちょっといけてない感じもするけど、まあ、こんなもんでしょ。
天下りという機構は確かに悪いのだが、お役人はトップが一人なので、トップになれそうもない人を順次外へ外していく方法として外郭団体への天下りが生まれたようだ。だが、一度生まれたものは、運用によっておかしくなっていくのが日本の行政機関で、天下り先を作るために外郭団体を作るようになってしまい、どんどん組織が肥大してしまう。
そもそも大会社が子会社に出向させることをまねて作ったようだが、今時よほどの大きな日本企業でなければ子会社への出向なんてあり得ない。肩たたきされてとかリストラされる人の方が多いだろう。役人は守ることばかり大事にしてる。
自分も50を越えて、そろそろ先のことを考え始めている。一緒に働いているS部長とも定年までは絶対にいないだろうと話しているが、さて、会社を辞めたあと何をしようか。考えていることはあるが、どうなんだろう。

ハッピー・リタイアメント (幻冬舎文庫)
ハッピー・リタイアメント (幻冬舎文庫)浅田 次郎

幻冬舎 2011-08-04
売り上げランキング : 35052

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
夕映え天使 (新潮文庫) アイム・ファイン! (小学館文庫) つばさよつばさ〔文庫〕 (小学館文庫) すべての人生について (幻冬舎文庫) オー・マイ・ガアッ! (集英社文庫)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

遺体―震災、津波の果てに

石井 光太著『遺体―震災、津波の果てに』読了
震災から一年を迎えるにあたって、いろいろ震災に関連した書籍を読んでいる。この本もその一つ。
ドキュメンタリー作家である著者が現地に入って、そこで出会った人たちを題材にして震災から1ヶ月くらいのところを書いている。表題にあるように遺体安置所を中心として、その人間模様をほぼ脚色なしに記録していると思われる。
未曾有の震災で死者行方不明者も記録的。遺体が次々と運ばれてくる安置所で、検視と検歯を行い、身元不明者の身元の情報を取りまとめる医師たち。その遺体を運ぶ市役所職員。ボランティア。葬儀社。住職。
みな、この未曾有の状況に生き残ったものたちとして、やるべきことをやっている。
はたして日本は復活できるのか。
もうすぐ1年がたとうとしている。どうなのか。

遺体―震災、津波の果てに
遺体―震災、津波の果てに石井 光太

新潮社 2011-10
売り上げランキング : 186

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
DVD 東日本大震災の記録〜3.11宮城〜 河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙 記者は何を見たのか - 3.11東日本大震災 地を這う祈り 石巻赤十字病院の100日間

| | コメント (0) | トラックバック (0)

モップの精と二匹のアルマジロ

近藤 史恵著『モップの精と二匹のアルマジロ』読了
このシリーズの初めての長編らしい。短編ものは少し読んだが、ちょっとピンと来なくて途中でやめてしまった記憶がある。
話としてのまとまりはさすがは著者の力量と思う。ちょっと凝りすぎたかな。
短期記憶喪失の男と、その妻。それぞれに問題があったということだね。それが表題の二匹のアルマジロだ。
ちょっと重い話でもある。

モップの精と二匹のアルマジロ (ジョイ・ノベルス)
モップの精と二匹のアルマジロ (ジョイ・ノベルス)近藤 史恵

実業之日本社 2011-02-18
売り上げランキング : 37585

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
天使はモップを持って (文春文庫) モップの精は深夜に現れる (文春文庫) モップの魔女は呪文を知ってる (実業之日本社文庫) 賢者はベンチで思索する (文春文庫) 茨姫はたたかう (祥伝社文庫)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

本日は大安なり

辻村 深月著『本日は大安なり』読了
結婚式場を舞台としたミステリー。たまたま手に取ったが、同じ時期にNHKでドラマ化されるとは知らなかった。優香の主演だそうだ。
最近、披露宴を行うカップルも減っているのか、部下の結婚式の招待もあまりなくて、楽をしている。披露宴も招待される側は楽しいばかりではないので。
このお話では、双子の新婦、クレーマーな新婦、不釣り合いなカップル、2重婚を隠して披露宴を行おうとしている新郎などが同じ結婚式場で時間をずらして結婚式を挙げるという設定。いろいろ問題が出てくるのだが、最後はメデタシメデタシで終わる。
なかなか設定も奇抜で、結婚式場や披露宴の内容などもしっかりしていて、それでいてミステリーの要素もしっかりあって面白い小説になっている。
自分の結婚式ははるか記憶の彼方だが、順番でいけばうちの子供たちも10年以内には結婚するだろう。してくれないと困るのだが、最近は晩婚やら未婚のままでいるのがはやりだから。そろそろそういった心配をしなくてはいけない年齢に達してしまった。

本日は大安なり
本日は大安なり辻村 深月

角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-02-26
売り上げランキング : 5117

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ツナグ ロードムービー (講談社文庫) オーダーメイド殺人クラブ 水底フェスタ ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (100周年書き下ろし)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

自衛隊救援活動日誌  東北地方太平洋地震の現場から

須藤 彰著『自衛隊救援活動日誌  東北地方太平洋地震の現場から』読了
東日本大震災からもうすぐ1年となる。
本書は防衛省の政策補佐官であった著者が自衛隊として震災対応にあたった現場に近い場面での体験を1ヶ月間に渡って日記として記述したものである。
現場にいたものならではの、そして自衛隊として過去にない10万人規模の大作戦を行った中枢に近いところにいた人としての苦労と感想が書き記されている。
日記形式であるので、非常に読みやすい。読んでいて当然ながら涙がこみ上げてくる。現実を直視した人間でなければ書けない内容だろう。そんな中でも、ヨーグルト、納豆、ラーメンが食べたいなんて、当たり前ながら、普通の人のようなことも書かれており、著者の人柄がしのばれる。
単に事実が書かれた日記としてだけでなく、自衛隊としての組織論やリーダーとしてどうあるべきかなどと言ったことも書かれていて、非常に参考となる。
今回の作戦の自衛隊としてのトップである総監が非常に落ち着いていて、すべての判断をして、なおかつ部下を激励し、的確な指示を与え、時にはユーモアな面もあったという、リーダーとしての鑑のような人が上に立ったから概ねうまく作戦が実施されたのだろう。
こういう時でなければなかなか国民からは評価されない自衛隊であるが、今回は本当に自衛隊がいてくれてよかったと思った。10万人規模という今までにない体制で震災対応を行うことを決断した上層部の方々にも感謝したい。なお、本文でも出てくるアメリカ軍の方々にも感謝したい。
この本は、小中学生に読んでもらいたい。

自衛隊救援活動日誌  東北地方太平洋地震の現場から
自衛隊救援活動日誌  東北地方太平洋地震の現場から須藤 彰

扶桑社 2011-07-06
売り上げランキング : 5652

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
日本に自衛隊がいてよかった 自衛隊の東日本大震災 東日本大震災 自衛隊もう1つの最前線 (毎日ムック) 再起 ありがとう自衛隊 ~ヒゲの隊長が綴る日本再興奮闘記~ (ワニブックスPLUS新書) 写真で見る トモダチ作戦

| | コメント (0) | トラックバック (0)

旧友は春に帰る

東 直己著『旧友は春に帰る』読了
久しぶりに著者のススキノハードボイルドシリーズを読んだ。
大元の『探偵はバーにいる』、『バーにかかってきた電話』は1992年ぐらいなので、かれこれ20年近く前になる計算だ。最近映画化もされたので、久しぶりに手に取った。
全く変わらない雰囲気と文体、ぶれないシリーズ小説。昔に戻った感じ。しかし、頑固な探偵だ。
携帯電話を持たない。連絡をメールでするのも、ネット喫茶にいくとか、ホテルで借りるとか、喫茶店でPC借りるとか。不便で仕方がないが、頑固なんだろう。確かに便利さもあるが、それに付随する煩わしさもある。ドッチもドッチで我慢しなければならないのだが。
今回は昔助けた女からの助けてコールにたいして、なんとか逃がしてやるのだが、それによってトラブルに巻き込まれる。つきあっている女が出来たのは初めて知った。最近シリーズの途中は読んでいないのでね。
4億円が手のひらにのるというのも驚いた。収入印紙だと軽いんだな。
この本でシリーズ10作。その後も書いているし、映画化もされている。しかし、シリーズの序盤は20年前だから、携帯電話もなかった当時なんで、古さも格別だ。映画化はどうしたんだろう。
シリーズの前後を読んでみたくなった。

旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA)
旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA)東 直己

早川書房 2011-08-10
売り上げランキング : 7868

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
探偵は吹雪の果てに (ハヤカワ文庫 JA) 探偵はひとりぼっち (ハヤカワ文庫 JA (681)) ライト・グッドバイ―ススキノ探偵シリーズ (ハヤカワ文庫JA) 駆けてきた少女―ススキノ探偵シリーズ (ハヤカワ文庫JA) 探偵、暁に走る―ススキノ探偵シリーズ (ハヤカワ文庫JA)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU

皆川 博子著『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU』読了
このミス2011 第三位。
18世紀のロンドンを舞台に、解剖医学者とその元に集う医者のタマゴたちと転がり込んだ遺体、盲目の判事などさまざまな要素と史実をもとに殺人事件を解き明かす。
時代とロンドンの雰囲気は良く出ていた。外国小説によくある感じがでていて、おもしろい。
トリックとしてはそれほど奇抜ではないが、時代の感じを醸し出しながら、捜査をしていくところをうまく描写している。
時代背景を感じながら、じっくり読むミステリーだろう。

開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド)
開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド)皆川 博子 佳嶋

早川書房 2011-07-15
売り上げランキング : 4007

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア) 二流小説家 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) メルカトルかく語りき (講談社ノベルス) 消失グラデーション 蝶 (文春文庫)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

青葉の頃は終わった

近藤 史恵著『青葉の頃は終わった』読了
青春ミステリーかな。
大学のときに仲間だった男女5人のうち、一人が自殺してしまう。そして、仲間には”私を殺さないで”というはがきが届く。
自殺の理由をさがす物語。人間関係が複雑に絡み合っていて、なかなか主題がよくわからない。
過去にフランス旅行中にレイプされていた事実が出てきたり、仲間の一人が殺人事件を起こしてしまったり、いろいろイベントは出てくるのだが、作者は何を語りたかったのか。

青葉の頃は終わった (光文社文庫)
青葉の頃は終わった (光文社文庫)近藤 史恵

光文社 2005-11-10
売り上げランキング : 381227

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
茨姫はたたかう (祥伝社文庫) 凍える島 (創元推理文庫) カナリヤは眠れない (ノン・ポシェット) ガーデン (創元推理文庫) 天使はモップを持って (文春文庫)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

サヴァイヴ

近藤 史恵著『サヴァイヴ』読了
『サクリファイス』、『エデン』のシリーズの連作短編集。
自転車レースに参加する選手が主人公。自転車レースは日本ではあまりなじみがない。最近震災の影響もあり、自転車愛好家や自転車通勤をする人たちが増えてきたが、自転車レースはまたちょっと違う。チームスポーツでチームワークやチームとしての戦略、駆け引きがレースを左右する。
普通、スポーツで言えば先頭でゴールすることを全員で目指すものだが、自転車レースでは最初からエースをアシストする役の選手が決まっていて、ペースメーキングをしたらり、風よけになったりする。エースに最後にゴールテープを切ってもらうために走るという地味な役目の選手もいて、初めてチームとして成り立つ。
ヨーロッパでは盛んな自転車レースであるが、日本ではいまいちなのは有名なレースがないことと、スポンサーがいないことだろう。女子サッカーもいまでこそなでしこジャパンで有名となったが、1年前までは日陰のスポーツだった。やっぱり成績を残して、ちゃんとスポンサーがつかないとだめだな。
この作品は、前の2作品の雰囲気を残しつつ、それぞれ小品だが、読んでいて響く良い作品だと思う。次回作にも期待したい。

サヴァイヴ
サヴァイヴ近藤 史恵

新潮社 2011-06
売り上げランキング : 28900

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
エデン サクリファイス (新潮文庫) ヒルクライマー (小学館文庫) グランプリ セカンドウィンド 3

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年12月 | トップページ | 2012年2月 »