衆愚の時代
楡 周平著『衆愚の時代』読了
著者の小説は結構読んできたが、エッセイは初めて。
常々自分が思っていたことと共感できる内容だった。
マスコミに登場する評論家、学者諸氏のご意見はごもっともで大衆受けをねらってのことだと思うけれども、冷静に考えたらおかしいことばかり。
派遣切りしかり。高齢化問題しかり。最近では放射能問題もそうだ。
除染をするって言ったって、全世帯国費でやるなんて絵に描いた餅だ。いくらお金があっても足りない。一度で除染が終わると思っているのかね。
かわいそうだが、ある程度の範囲の土地は国家が買い上げて、そこに今回出た放射性物質を一時保管するしかないのではないか。家だけ除染したって、周りはそのままだし、そもそも除染で水で流したって、その水はどこに行くの。流れてどこかにたまればそこは放射能濃度が高くなるだけじゃないの。
もっと抜本的な対策が必要じゃないのかな。などと考えているが、こういった意見をマスコミで流しようものなら、大変なバッシングをくらうだろう。
でもね、たとえば成田空港を作るときに、そこから立ち退きを迫られた人もいるわけでしょ。そういったことをやって、成田空港が出来て、その他大部分の人が便利になっているわけでしょ。何が大事か、どの程度大事か判断して決めなきゃ。東京電力がやってくれるわけではない。国の責任なんだからね。
住んでいた人のこともあるけど、自然災害だったらまったく保障もされないのだから、土地買い上げをしてくれるのだったら、まだいいんじゃない。
買い上げた土地で、放射線研究の施設とかも作ればいいんだよ。なんなら、国会議事堂を持っていけばいい。国の責任なんだからさ。
本の話に戻るけど、こういった本を出せるということはまだ、日本は普通の国なんだと思う。自由な意見が言えるうちは大丈夫だろう。
衆愚の時代 (新潮新書) | |
![]() | 楡 周平 新潮社 2010-03 売り上げランキング : 220818 Amazonで詳しく見るby G-Tools |





| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント