極北クレイマー
海堂 尊著『極北クレイマー』読了
北の方にある架空の市の市民病院に赴任する非常勤医師で外科部長を主人公とする医療問題を取り上げた小説。結構いろいろな医療問題がでてくる。
医療事故を疑われる妊婦の出産時の死亡事故、市民病院そのものの収支の問題、そもそもの医師派遣の問題などなど、現代の医療を取り巻く課題、問題を表している。最終的に市が再建団体に陥ることから、市民病院も再建しなければならなくなり、再建のプロが派遣されてくるところで終わる。
著者は勤務医をしているということで、いろいろ現場での苦労や問題をうまく小説としてまとめているとおもう。なかでも、直接問題としていないがメタボ対策については自分もうなずいてしまった。毎年の検診で指標に基づくとメタボ対策が必要という通知が来て、検査をせよということで無料だったので受けたが、結局血液検査をして終わりだった。何の意味があるのか分からないけど、これが厚生労働省の施策だったとか。メタボッタクリとはいい表現だ。
今の医療は崩壊の危機にあるのが現実だろう。それも、本来必要であるはずの救急救命がコンビニ受診と同じようになってしまっている。医者も人間だと言うことを理解しないといけない。
なんかの折に夕張市立総合病院を引き継いだ夕張希望の杜のことを目にして、メルマガを購読している。実際に崩壊した医療現場を正常化するのは並大抵な努力ではない。周りの地域住民を巻き込んでやっていかなければ実現できないのだと改めて感じている。しかし、過去、箱もの行政でいろいろなものを作って、その後のことも考えずに破綻させてしまった人たちには責任を取れと言いたい。
◎夕張市立総合病院を引継いだ「夕張希望の杜」の毎日
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