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植物図鑑

有川浩著『植物図鑑』読了
よくもこういったネタでべたべたのラブコメを書けるものだと敬服する。
主人公のOLが帰宅時にアパートの近くで行き倒れの青年をみつけ、不憫に思って泊まらせてやるところから話は始まる。おなかがすいて無一文だったことから、カップラーメンを食べさせて、その次の朝、その青年が有り合わせのものから朝食を作ったことから奇妙な同棲(同居)生活が始まる。
意外にも好青年で、同居していても主人公には手を出さない。夜間のバイトを見つけて平日は一緒にならないようにして、休日に近所に草摘みにいってそれをうまく料理する。ここが題名の理由。案外町中でも食べられる草が多くあるらしい。これらを題材に最後にはラブコメの王道をいくようなところに持ち込むところは著者の真骨頂。
まいりました。
まず、こんなことは現実には起きないのだけど、そうであってもそうだったらいいなとか思わせてくれる。
おすすめ度:★★★★★(星五つ)
読んで損なし。読まないと損をする。

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贄の夜会

香納諒一著『贄の夜会』読了
ミステリーにくくらえると思うが、サイコサスペンス&ハードボイルド的なところもあり、面白かった。
冒頭で女性が二人殺される。ひとりは後頭部をはげしくものにぶつけられ、もう一人は両手を切り取られて発見される。この犯人探し的な側面もあるが、過去の少年犯罪や猟奇的な殺人をちりばめながら、そして警察内部の汚職も交えて話は進んでいく。最終的な犯人は意外なところでみつかる。
この小説は2段組みなので分量はかなり重い。のちに文庫版もでているが上下巻になっている。
実はこの小説を一度読み始めたが、途中で苦しくなってほっておいたもの。そのあと、もう一度読み出したが、中間から後半は一気に読める。そこまで行くのがなかなか大変だった。
いろいろ人間模様もあり、なかなかの大作。著者の代表作とも言えると思う。
おすすめ度:★★★★☆(星四つ)
ちょっと分量が長い点が・・・

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福家警部補の挨拶

大倉崇裕著『福家警部補の挨拶』読了
和製コロンボをめざしたミステリー小説。短編集。
最初やっぱり違和感があった。確かに刑事コロンボのように、殺人現場が描かれ、それを刑事役が捜査するという形で話は進んでいく。最初の話はぎこちなかったが、その次あたりから、これもありかなという印象を持った。
このシリーズは3冊ぐらい出ているので、けっこう楽しんで読めるかもしれない。
いま、NHKで刑事コロンボを再放送しているが、何度見ても面白い。最初のシリーズは話としては古くなっているし、その当時のけっこう新しい技術(たとえばビデオテープとか、ロボットコントロールとか)を使っているけど、けっして今みても古くさい感じがしない。そもそも技術をどうこうではなく、犯人を追いつめていくという手法を問題としているので。詰め将棋をやっている感覚。

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ナイチンゲールの沈黙

海堂尊著『ナイチンゲールの沈黙』読了
シリーズ第二弾。今回は看護士の話。非常に歌唱力のある役なので、たいへん。
近々映画化されるはず。看護士役をだれがやるのか。患者の一人の由紀役もだれがやるのかちょっと注目。
殺人と死体損壊。なかなか重い話だし、患者は眼球摘出だし。
なるべく病院には近づきたくないものだ。

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時計を忘れて森へいこう

光原百合著『時計を忘れて森へいこう』読了
主人公は表紙に描かれている女子高生だ。ちょっと幼くしすぎている感じがあるが。
ミステリー調にもとれる青春小説かな。こういったくくりをされることをたぶん著者は嫌うのだろう。
いい小説は読後感がいい。すきとおった空気を感じることが出来るお話だ。謎解きもそれなりにしっかりしているし。文中に出てくる景色に行ってみたくなる。
おすすめ。

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うまや怪談

愛川晶著『うまや怪談』読了
シリーズ第三弾。
今回も落語に絡んで事件を解決する短編を三つ。
うまや怪談自身は落語のネタにないものを作り出して、そこから話を膨らめている。悪魔の手毬唄の手法。
さすがにシリーズ第三弾ということで、落ち着いて読める。なかなかミステリーとしてもよく出来ているし。
またまた次を期待したい。

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汚名

多島斗志之著『汚名』読了
ミステリー調の小説。純文学でもとおる。
主人公を亡くなった伯母さんの人生を探るうちに自らの出生にまでたどりつく物語。
いくつかの布石が最後に一つの線となり、それで全体が見えてくるうまい作りとなっていて、必ずもう一度読み返したくなる。しっかりした作りになっている。
こういった筋の通った小説を書ける人はすごい。全体を見通しながら、細かいところに心配りをして小説が書けるのは天才だな。

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新世界

柳広司『新世界』読了
第二次大戦末期のアメリカ。ロスアラモス研究所を舞台としたミステリー。
ミステリー仕立てにして、原爆の製造やその使用に対して問題を提起しようとした作品か。そこまで重いテーマではないが。
あの頃のアメリカはドイツが原爆を作るのではないかということを恐れて、それよりも先に原爆を作ろうとしていた。実際にどのくらいの威力があるかもわからずに作り、試作での実験で想像以上の威力があることがわかったが、最終的に広島、長崎に使用してしまうこととなる。原爆を使った方が最終的には双方の被害を少なくできるという結論だったからだ。結果論としては、多くの直接的な死者だけでなく、長く後遺症を発症させる放射線被害を多く出したことから、都市部での使用はどうだったのか。威力を見せつけるだけであれば、もっと被害が少ないが威力を見せつけるだけの方法はあったのではないかと思う。あくまで結果論だが。

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記念日anniversary

香納諒一著『記念日anniversary』読了
これも著者で選んだ作品。結構良かった。
和製ボーンアイデンティティ。
記憶をなくした男がホテルで目が覚めるところから始まる。横浜で中華系マフィアと警視庁公安部、CIAを巻き込み、最終的に自分の記憶を取り戻そうとして、結果としてマフィアの組織を壊滅させる。
結構テンポいいので、スラスラ読んでいける。この小説も注目されないのが不思議。結構面白いのだけど。

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まっすぐ進め

石持浅海著『まっすぐ進め』読了
著者で選んで正解の1冊。なんでこのミスにランクインしないのか不思議なくらい。よく出来ている。
短編集だが、連作でもともと雑誌に投稿した3つの短編にたいして幕間の短編を書き非常にうまくまとめている。
腕時計を二つしている女性を書店で主人公が見かけるところから始まり、その女性の腕時計の意味を解き明かして付き合いが始まる。たまたま行ったデパートで、親とはぐれた少女を見つけ、その少女が大金を持っていることから事件に発展する。
さらには、彼女の5年前の過去を解き明かすことで話は終わる。非常に良く出来た小説。こういった短編をつなぎ合わせてちゃんとした話をまとめることが出来るということがすばらしい。
自分的にはこのミスベストテンに十分いける作品。おすすめできる。

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感傷コンパス

多島 斗志之著『感傷コンパス』読了
著者で選んで読んだ。純文学はあまり読まないので、少し新鮮だった。
田舎の小さな学校に赴任してきた若い女教師と生徒たちの物語。ほのぼのとした、しかし、すこし切ない感じがよく描かれている。
すごく感動するというわけでもないけど、ちょっとこころをくすぐられる。
ところで多島さん失踪とか言うニュースが流れていたけど大丈夫かしら。せっかくいい小説を書ける人なので、心配です。

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