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バビロニア・ウェーブ

堀 晃著『バビロニア・ウェーブ』読了
どこかの新聞の書評ででていたので、購入して読んだ。日本人の本格SFとしてはよく出来ている。
初版は1988年なので、すでに20年前のこと。20年経っていても、色あせないということは、それだけ先を読んでいたのか、科学的知識がしっかりしていたのか、その後の天文学的な進歩がそれほどなかったのか。
日本人のSFとしては小松左京の『さよならジュピター』を思い浮かべるが、さよならジュピターは1980年の著作で、せいぜい太陽系内のしかも惑星軌道程度だったものが、本作では太陽系を3光日もいったところにある光束を舞台に話が進まれる。
そもそもそんなところになぜ、そんなものがあるのか。この光束に45度で反射板を入れれば、光エネルギーとして無尽蔵とも言えるエネルギーを取り出すことが出来る。そもそもそんな発想はどこから出てくるのか。
しかもそこまで宇宙船で行くのにレーザ加速する宇宙帆船のようなものまで考えている。未だ実現していないが、光エネルギーによる宇宙船の加速って可能なんだろうか。
謎は深まるばかりだし、SFなんで終わりがしっかりある訳でもないのだが、しっかりとしたSFでおもしろい。初版が出た当時に読まなかったことが悔やまれる。その頃何していたんだろう。

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堀 晃

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煙霞

黒川 博行著『煙霞』読了
お得意の大阪が舞台のミステリー(かな)
私立高校の講師が理事長の不正を暴くつもりが、そのネタで金を奪おうとする一味と一緒になり、最後は金塊をもって逃げることとなる。
おおむね2日か3日ぐらいの出来事だが、非常にテンポ良くかけているし、登場人物もそんなに多くないので、読んでいてもスムーズで一気に読める。
黒川さんの小説はパターンはほぼ同じであるが、いつも面白く読ませる工夫がされているとおもう。しかし、大阪っていつもこんな人たちが住んでいるのかと思うと怖くなる。出張で行く程度なんで、とても自分が住めるところではないな。

煙霞煙霞
黒川 博行

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ジーン・ワルツ

海堂 尊著『ジーン・ワルツ』読了
医療がらみのミステリーと言えばミステリー。
不妊治療、人工授精、代理出産などと現在の産婦人科医療の問題点をうまく組み合わせて物語としている。
この小説に書かれていることはまだ優しいのかもしれない。現実には医者が減ってしまっている。
しかし、ちょっと前まではこういうことは問題とならなかったのに、今になって医師不足になっている現実はどうしてなんだろう。大学からの医師配給制がうまく行っていないという話もあるが、いまいちわからない。
あと、妊娠から出産が結構リスクがあるということは、知っているようで知らなかった。妊娠したら、普通に生まれてくるものだと思ってしまっていたが、実際に正常に生まれてくるのは80%程度ということは、けっこうリスクがあるということなんだ。ちょっと前に”生む機械”などとほざいた政治家がいるが、ちゃんと子供を産んでくれることが、この国を発展させるということがわからない人が政治家で議員になっているというこの国はおかしいんだろう。世襲制がどうとか言っているけど、一度現役の議員をすべてやめさせて、新しい人だけ立候補できるようにするとか、任期の制限を設けるとか、議員定数を半分にするとか思い切ったことやらないとだめなんじゃない。

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海堂 尊

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太陽の簒奪者

野尻 抱介著『太陽の簒奪者』読了
たまたまブックオフの105円コーナーにあったので手に取った。前から気になっていたのだが、すばらしいハードSF。
簒奪などという難しい言葉を題にしてしまうのもすごい。簒奪=奪い取るのけっこう激しい行為だと思うけど、太陽を奪い取るという発想もすごい。それが、宇宙人とのファーストコンタクトにつながるのもすごい。
そもそも宇宙人に対して、人類と同じように言葉、言語でコミュニケーションを取るもの思い込んでいる我々がいる。そのためにSETIなどの宇宙からの電波を解析してほかの星の生物の情報を見つけようとしているのだが、未だその作業は成功していない。著者はそもそも言葉によってコミュニケーションを取らない生物がいるというところから始まって、その異星人とどうやってコンタクトをするかということを描いている。
この小説のもう一ついいところは白石亜紀という宇宙飛行士を中心に物語を進めていることだ。この主人公も魅力的だ。
こんな形で、もしいま宇宙人の気配が伝わったらどうするのだろう。小説では水星に異星人の装置が作られていき、太陽のエネルギーが地球に届かなくなるのだが、未だ人類は月以外の天体にいったこともない。火星に人を送り込む計画をしているが、この世界不況でまた先延ばしだろう。もっとも実際に人を送り込まなければならない理由もない。ロボットの性能もあがっているので、ある程度の観測なら無人で出来るだろう。人を送り込むのなら、確実に帰ってくることが出来なければ、単なる冒険になっちゃう。または神風特攻隊みたいになっちゃうよな。
自分が生きている間に、火星とかに人が立つのだろうか。そのとき何か変わるのだろうか。

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野尻 抱介

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走れ!T校バスケット部

松崎 洋著『走れ!T校バスケット部』読了
高校のバスケットボール部を舞台にした青春小説と言ってしまえばそれまでなんだけど、単にそれだけではない面白さがある。
主人公は中学からバスケットボールをやってきて、有名私立高校に入学するも、同級生などのいじめに耐えられず、退部だけでなく退学して都立高校に編集した高校生だ。都立の大会で一度も勝ったことがないバスケットボール部が主人公が入ったことで刺激を受け、徐々にチームとしてまとまっていき、最後は元いた私立と決勝を戦い、勝ってしまう。
まあ、出来過ぎと言えば出来過ぎだろうけど、小説なんだからいいだろう。そんなに違和感なく読み進められるのも登場人物の描写がしっかりしていて、みんな生き生きしているからだろう。
自分はバスケットは中学校のクラブ(部活動でなく、授業時間でやるほう)で少しやった程度。息子は中学の3年間と高校1年の夏までやったが、やっぱりついていけなくてやめてしまった。案外ハードなスポーツだし、やっぱり体が物を言うスポーツだ。背が低いと確実に不利だが、それを克服するくらい動き回るなど、やりようによってはなんとかなる。ただ、いかんせんポイントゲッターはある程度の身長がないとだめだ。
そういった背景をしりつつ、この小説を読むと面白いのではないかな。
続編も出ているようなので、そちらも読む予定。

走れ!T校バスケット部走れ!T校バスケット部
松崎 洋

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