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幻夜

東野 圭吾著『幻夜』読了
サスペンスというかミステリーというか。
阪神淡路大震災をきっかけに名前を変えた女とそのときに人を殺してしまった女が織りなすさまざま出来事でその折々に巧妙に女にだまされるところがおもしろいのだが、こんな女が本当にいたら怖い。
震災で他の人に成り代わる方法は松本清張の『砂の器』でも使われている。砂の器では太平洋戦争の大阪空襲で区役所も焼失して戸籍の復旧を使って子供に成り代わる方法だったが、今回は大震災のなかで両親と一緒に死んだ娘に成り代わるということで、出来そうで出来ない話かな。計画的に出来る話でもないし、大地震がくるとわかっている訳ではないし。とはいうものの物語としては非常によく出来ている。
この時代をよく表しているし、大震災から不景気となって町工場が次々と倒産していくところや、ストーカーが出始めてきた物がうまく取り込まれていて、同時代を生きてきたなかでその辺の雰囲気がよく描けている。さすがは東野さん。
次に読む予定は買ってそのままにしてある白夜行か。

幻夜 (集英社文庫 (ひ15-7))幻夜 (集英社文庫 (ひ15-7))
東野 圭吾

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