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借金取りの王子

垣根 涼介『借金取りの王子』読了
以前読んだ『君たちに明日はない』の続編。
リストラ請負会社の面接員のお話。指名解雇はできないので、面接をして自己都合退職に追い込むことを仕事としている主人公を取り巻く話の短編集だ。
前作を読んでいなくても、スムーズに入っていけるが、できれば前作を読んでいるほうがよりおもしろいと思う。次回作を書いているという情報はあったが、タイトルがあまりにも違うので、一瞬続編とは思わなかった。タイトルになっている借金取りの王子はサラ金の支店長の話。それ以外にも大手デパートにつとめる外商部の女性販売員や、大手ホテルチェーンに勤める女性従業員、生命保険会社のシステム部門の男など、様々だ。
あくまでもフィクションだとは思うが、企業はこうやってリストラを行ったりしているんだろう。でも、こういうことをやって、都合良くやめて欲しい人がやめるだけでなく、優秀な人が見切りをつけてやめてしまうケースも多いのではないかと思ってしまう。自分も暮らしが何とかなるのであれば、早いところサラリーマンをやめたいとは思っているが、なにせ家族を養わないといけないしな。宝くじでも大きく当たったら、やめてしまうだろうな。
本の中で『たかが仕事をやめるだけじゃないか。命をとられるわけでもない。』というような言葉が印象に残る。日本人の一本気なところで、命を含めてすべてを会社に捧げてしまう風潮は中高年に共通してあるだろう。でも、たまたまこの会社に勤めているだけであって、そこで起きる様々なことは楽しいことや苦しいことはあるけれど、別の会社に行ったらいったでまた別のことが起きるだけだ。会社のために我慢してサービス残業や超過勤務をして、体や精神を病んでしまうのは本当にばからしい。いざとなったら、リセットする勇気を常に持たないといけないだろう。

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垣根 涼介

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