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ハゲタカ

真山 仁著『ハゲタカ』読了
NHKドラマで話題となったものの原作。
金融危機とその後のハゲタカファンドのことをフィクションとして書いた小説だが、真実というか実録に近いものではないかと思う。
実際に破綻してできたりそな銀行や破綻した足利銀行など近い形で出てくるし、お菓子メーカはうちのカミさんの妹の旦那がつとめていた東鳩かなと思って読んでいた。確かに日本の中小企業は家内工業的なところが多いし、会社と自分の持ち物がわからなくなっているところも多い。うちの親会社も1000億円以上の有利子負債があるが、全然返済できていないはずだし、返す当てもよくわからなくなっちゃっている。でも、80になる会長は全然元気だし、毎週行っている床屋も経費なんだろうし、結構行っているゴルフも経費なんだろう。それ以外にも黒い噂も聞いたことあるが。
株式会社が株主で成り立っていることや従業員がまっとうに働くことによって利益を出していること、社会貢献が必要なこと、なによりコンプライアンスを守ることなど基本的なことを忘れてしまっている経営者が多くいて、それらを守る役員もいて、全然会社が良くならない。そんな会社に苦労してしがみついていて、仕舞いには山一証券のようにある日突然死してしまうことが許されてしまう。その中にある悪いもの、膿をさらけ出すのをこばんだ山一証券もひどいけど。
やっぱり経営者の質とそれを保っていけるかが大事なんだと思う。株式市場は株価によって正当に評価している。株価が低いということは会社に価値がないということ、経営者がだめだって言うことなんだろう。それでも経営者としてしがみつくから始末が悪い。
この本を読んでいて、たとえば親会社が破綻となったときにどこが救ってくれるの、救うほどの価値があるのかを正直考えさせられた。ゴルフばっかり行っているんじゃなくて、こういう小説も読んだ方がいいんじゃない。NHKのドラマもDVDになるだろうから、そっちでもいいけど。ちなみにドラマは小説をいろいろ変えているみたい。たしかに小説通りだとりそなとか足利とかわかっちゃうからね。
この小説の続編もあるので、それも楽しみだ。

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