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ビザール・ラヴ・トライアングル

浅倉 卓弥著『ビザール・ラヴ・トライアングル』読了
著者は『四日間の奇跡』や『君の名残を』を書いた人で、この短編集も非常に文章がなめらかに美しく書かれている。心温まる、すこしミステリアスな短編集。
短編集にするのがもったいないような内容のものもある。『向日葵の迷路』では幼い頃の母親の葬式の場面にいまの自分がタイムスリップする。こう省略すると全然おもしろくないが、この短編を基にふくらめれば、けっこうな長編が書ける。そのまま映画にしてもいいくらい。(ちょっと言い過ぎか。なんかエピソードを入れれば映画にしてもおかしくない。)そんな話が詰まっている。
表題となっている『ビザール・ラヴ・トライアングル』はまさに純文学だ。妻に先立たれ、妻の連れ子と自分の母親と住んでいた主人公だったが、その母親もなくなり、血のつながらない親子が生活をはじめるところを描いたなんでもない話なのだが、文章がきれいでうまい。かみしめて読んで欲しい。
この短編集も著者の代表作になるはずだ。

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浅倉 卓弥

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