さよなら妖精
米澤 穂信著『さよなら妖精』読了
2年ぐらい前のこのミスの20位にランクしていたはず。ちょっとミステリーと言うには厳しく、青春小説というか純文学というか、そんな感じだが不思議な読後感ともう一度最初から読みたくなった感覚から良い小説に入れて良い作品。ただ、ちょっと最初が読みにくい。
主人公は高校生の男女二人とユーゴスラビアからきた同年代の少女で、どういう経緯で日本に来たかわからないがある地方都市でホームステイをしようとしたら、その知り合い(知り合いの知り合い)が亡くなっていて、主人公の高校生が友人の旅館に住み込みを紹介し、その後、この3,4人の不思議な関係が2ヶ月ほど続く。
ちょうどユーゴスラビアの内乱の時期らしく、このあたりがどこまで史実と合っているか判断できないが、帰って行った少女の故郷を探すべく、滞在した際の高校生の日記を元にその当時の生活が語られ、ふるさとがだいたい明確になる。ここらへんがミステリーといえばミステリーなんだが、殺人が起きるわけでもなければ、泥棒がいるわけでもない。昔の北村薫を思い出す感じ。
最後の結末は非常に厳しく悲しいが、現実に合わせるとそうなるんだろう。それで読み終わって、もう一度最初から読み直すとなるほどと思えてくる。
じっくり読む方が良いが、一度さっと読んでから読み直す方がわかりやすいかもしれない。なかなか評価は難しいが良くできた作品。
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