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トキオ

東野 圭吾著「トキオ」読了
東野さんのタイムトラベルもの。1980年代を懐かしく思う気持ちをタイムトラベルというネタで描いた小説。
単純なタイムトラベルではなく、自分の息子が難病で危篤状態になったときに、20年前の自分に会うという話だ。正確に言うと20年前の話を危篤状態の枕元で父親が妻に話す非常に長い話の形式をとっている。「いま会いに行きます」が未来に行く話しだとすると、これは20年前に戻る話。
全体的に1980年代の雰囲気が非常によく出ているし、史実もいれこんでリアリティを出している。最後のところで日本坂トンネルの事故を出しているところはなかなかすごい。冒頭で息子の難病の話から始まったので、そっち方面で行くのかと思ったら、昔話になったのだが、非常におもしろく読ませる展開で一気に読んでしまった。しかも、過去に行った息子が若いころの父親に会って、そんな生活していたらだめになっちゃうと諭しているところもおもしろい。父親の出生のなぞを解き明かして、父親を更正させていなくなるところで終わる。そして、その後妻と出会い、携帯電話の会社に入社するのだが、そのあたりはちょっとやっつけ的な感じがする。
最後の一文がまたいい。息子と父親が出会ったのが花やしきであったため、意識無く寝ている息子に対して「花やしきでまってるぞ」と声をかける。これで話がつながるわけだ。
ファンタジーであり、出生の秘密を解き明かすところはミステリーともなっており、1980年代の郷愁も感じる非常に読み応えのある小説だ。
ちなみにNHKでドラマ化されているらしい。父親役を国分太一がやっている。若いときはなんとかできると思うけど、冒頭の年取った父親役はどんななんだろう。

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