« 2007年2月 | トップページ | 2007年4月 »

ゆりかごで眠れ

垣根 涼介著『ゆりかごで眠れ』読了
著者のコロンビア取材を生かして、コロンビアマフィアのコカインの取引を巡るギャング小説になっちゃっている。思い入れが非常に強く出ているのはわかる。登場人物はそれぞれに個性が強く、生き生きとしておもしろそうなのに、なかなか話がおもしろくならない。最終的には取り調べで収監されている部下を警察から奪還するのだが、そこはどうも現実感がしない。
著者のいままでの作品、特に前の三部作と同じ雰囲気はする。途中で楡周平を読んでいるのかと思ってしまったくらい海外の雰囲気とギャングの感じが似てしまっている。逆につまらなくしてしまっているのではないかと思う。思い入れも大事なんだけど、読み手のことも少し考えてよ。読んでいるのはコロンビア人ではなく日本人なんだから。

ゆりかごで眠れゆりかごで眠れ
垣根 涼介

中央公論新社 2006-04
売り上げランキング : 176980
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| | コメント (0) | トラックバック (0)

グッジョブ Good job

NHKで今週やっていたドラマ『グッジョブ Good job』にはまってしまった。その昔この時間帯(23:00台)のNHKドラマはよく見ていた。ほっとして寝る前のまったりとした感じの中でお酒を飲みながら見るのは楽しい。
このドラマ、出演者が非常に良かった。松下奈緒ってこんなにかわいかったのかって再認識した。また、男性社員役の徳重聡もよかった。デビューしたてはかちんかちんだったが、仕事が出来そうないい男になっている。また、脇役もすてきだ。市川実日子や村川絵梨もうまく効いている。
残念ながら、1週間で終わりなんだ。本当に残念。続編を作ってくれ。または松下奈緒主演でほかのドラマでもいい。結構はまりそうなくらい松下奈緒がかわいかった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

トキオ

東野 圭吾著「トキオ」読了
東野さんのタイムトラベルもの。1980年代を懐かしく思う気持ちをタイムトラベルというネタで描いた小説。
単純なタイムトラベルではなく、自分の息子が難病で危篤状態になったときに、20年前の自分に会うという話だ。正確に言うと20年前の話を危篤状態の枕元で父親が妻に話す非常に長い話の形式をとっている。「いま会いに行きます」が未来に行く話しだとすると、これは20年前に戻る話。
全体的に1980年代の雰囲気が非常によく出ているし、史実もいれこんでリアリティを出している。最後のところで日本坂トンネルの事故を出しているところはなかなかすごい。冒頭で息子の難病の話から始まったので、そっち方面で行くのかと思ったら、昔話になったのだが、非常におもしろく読ませる展開で一気に読んでしまった。しかも、過去に行った息子が若いころの父親に会って、そんな生活していたらだめになっちゃうと諭しているところもおもしろい。父親の出生のなぞを解き明かして、父親を更正させていなくなるところで終わる。そして、その後妻と出会い、携帯電話の会社に入社するのだが、そのあたりはちょっとやっつけ的な感じがする。
最後の一文がまたいい。息子と父親が出会ったのが花やしきであったため、意識無く寝ている息子に対して「花やしきでまってるぞ」と声をかける。これで話がつながるわけだ。
ファンタジーであり、出生の秘密を解き明かすところはミステリーともなっており、1980年代の郷愁も感じる非常に読み応えのある小説だ。
ちなみにNHKでドラマ化されているらしい。父親役を国分太一がやっている。若いときはなんとかできると思うけど、冒頭の年取った父親役はどんななんだろう。

時生時生
東野 圭吾

講談社 2005-08-12
売り上げランキング : 2419
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

トキオ 父への伝言トキオ 父への伝言
国分太一 東野圭吾 櫻井翔

NHKエンタープライズ 2005-04-22
売り上げランキング : 19589
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| | コメント (0) | トラックバック (0)

カクレカラクリ

森 博嗣著『カクレカラクリ』読了
コカコーラの生誕120周年を記念して書き下ろされた小説らしい。随所にコカコーラを飲む場面は出てくるけど、印象弱いなぁ。もっとコカコーラ前面に出した方が良かったんじゃないのだろうか。話の内容にもコカコーラは関係しないし。
話としては二人の大学生が同級生の女性の故郷に夏休みに行って、120年後に動き出すという伝説の隠れ絡繰りを探すという話。ミステリーとなっているけど、ちょっと青春小説ぽくて題材は良いんだけど読みにくくて。ミステリーの展開がよくわからなくなるところが残念。もっとすぱっと書けないものか。
120年後に動き出すということを論理的に説明しているけど、一般の読者はそこに興味がわくのだろうか。理系の機械系の学生またはOBならまだしも、一般の人に120年間動かずにいて120年たったら急に動き出す機械の仕組みの解説はおもしろくないのではないか。私は途中まではおもしろく読んでいたが、肝心なところで話がわからなくて、図でもつけてくれればなんとかなったかなと思うのだけど、文字だけの説明ではどうも理解できなかった。確かに技術的にはおもしろいテーマなんだろうけど、ミステリーとかにはなりにくい。もっと大がかりで大胆なものの方が受けるだろう。もう少し、すらすら読める話であればおもしろかったと思う。

カクレカラクリ—An Automaton in Long Sleepカクレカラクリ—An Automaton in Long Sleep
森 博嗣

メディアファクトリー 2006-08
売り上げランキング : 93516
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ひとがた流し

北村 薫著『ひとがた流し』読了
ミステリーでない北村さんの作品。朝日新聞に連載していた質の良い純文学だ。
登場人物は幼い頃から友人だった女性3人で、40を越えている。一人は独身、一人は離婚、一人は再婚と三者三様。子どもも結婚した人にはそれぞれ一人ずついて、この5人の女性と2人の男性の物語だ。最初はアナウンサーである結婚していない女性のどうとでもない日常を描いていくのかと思ったら、途中で女性の病気が発覚し、途中からこれは読了後泣くだろうと思って読んでいったが、予想を裏切らず泣いてしまった。質の良い泣かせる小説だ。
途中に進行に少し強引なところもあるが、概ねスムーズな進行をしており、楽しみながら、そして悲しみながら、味わいながら読んでいける。こういったどこにでもあるような話を盛り上げて高めてうまく持っていく力はさすが北村さんと思ってしまう。
おすすめの1冊に加えたい。

ひとがた流しひとがた流し
北村 薫

朝日新聞社 2006-07
売り上げランキング : 75962
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| | コメント (0) | トラックバック (2)

BG、あるいは死せるカイニス

石持 浅海著『BG、あるいは死せるカイニス』読了
非常によかった。ミステリーとして秀逸。
表題のカイニスはギリシャ神話に出てくる男性になった人物で、この男性化がこの小説の根幹となっている。舞台背景として現代とほとんど同じなのだが、生まれてくる人間はすべて女性で、女性が出産の後に男性化する世界での話だ。自然界ではキンギョハナダイも同じようにあとで雄になることがおこるようだ。そのような状況をうまく利用してミステリーにしている。状況が荒唐無稽といってしまえばそれまでなのだが、それを感じさせずに主人公の女子高校生や異母姉妹、友人など、非常に生き生きとした学園ものミステリーに仕立てている。
さらにもう一つ、単なる男性化ではなく表題ともなっている『BG』の正体を暴きつつ、主人公の謎解きは続く。『BG』の意味とは・・・
最近読んだ中では非常におもしろく飽きさせないミステリーだった。
不思議とこのミスにはランキングされていない。なぜだろう。

BG、あるいは死せるカイニスBG、あるいは死せるカイニス
石持 浅海

東京創元社 2004-11-30
売り上げランキング : 257961
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2007年2月 | トップページ | 2007年4月 »