医学生
南木 佳士著『医学生』読了
『阿弥陀堂だより』がよかったので、同じ著者の作品を読んでみた。
著者の自伝的作品なのか、新しく医学部が設置された秋田大学に入学した男3人と女一人を丹念に描いた作品。なんとなく医学生を目指していたがなかなか入学できるレベルの大学がなく、なんとなく秋田大学に入ってしまってモラトリアムになりつつある男とか田舎の農家の生まれで村の期待を一身に受けて医学生となった女、仕事をやめて新たに医学部に入り直した青年など様々な人間模様をうまく描いている。二年生からを描いているが最初の場面が人体解剖で、大学ではどうやって人体解剖をやっていくのかを細かく描いている。これは著者の体験を表しているものだろう。
全体に秋田の冬の場面がでてくるので、暗い印象があるがいまの大学生ではなく昔のいわゆる貧乏大学生の雰囲気が良く出ている。自分もそうだったので、なんか違和感なく読めた。医者の作家はけっこう多いがこういったしっかりした小説を書ける人は少ない。じっくり読むのに良い本だ。
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