シェエラザード
浅田 次郎著『シェエラザード』読了
太平洋戦争末期の特殊目的の運搬船が魚雷で沈められた事実をうまく使い、現在と当時を組み合わせつつ現代はこの船の引き上げの話を進め、裏で当時の動きをロマンスなどを交えて描く浅田小説の真骨頂だ。
スムーズに読み進められるし、非常に読みやすくおもしろいしほろりとさせられるのだが、よくよく読み返すと結局現代の話は引き上げを決めるまでで終わっていて、実際に引き上げるかどうかはわからないところで終わってしまう。これの方が良いのかもしれない。引き上げてしまうともっとどろどろしたことを書かなければならないし。
小説の中では『弥勒丸』となっているが、実際の事実では『阿波丸』の事故がそれに当たるらしい。この小説のどこまでが史実に従っているかよくわからないが『総力戦研究所』で開戦前にあらかた戦争の行方を予想していたことは自分は初めて知った。半藤一利『昭和史』を読むべきかと思う。
ちなみにこの小説はNHKでドラマ化されていてDVDもでているらしい。一度見てみたいものだ。
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