贋作工房
夏季 真矢著「贋作工房」読了
先日の「モジリアーニスキャンダル」とかフェルメールなどに興味があって、たまたま手にとったもの。内容としてはいいんだけど、書き手の力量かな。
物語のあらすじとしてはニューヨークにあるメトロポリタン美術館のキュレーター(日本の博物館でいう学芸員みたいなものか?)が前館長スキャンダルに巻き込まれ、出世争いから左遷され、その仕返しをフェルメールの贋作を売りつけることで果たすのだが、その間に第二次世界大戦末期のナチスドイツの美術品略奪時の話とか、それが現代に結びついて起きる話とかを入り組ませて、著者としては面白くちりばめたつもりだろうけど、読んでいて続かないのがつらい。話のねたとしてはおもしろいし、興味が湧くのだけど・・・
途中で出てくるハッカーによるバチカンのコンピュータシステムへの侵入とか、メトロポリタン美術館の監視システムの制御とかコンピュータシステム関係の知識も間違っていないので、うまく書けばもっとおもしろいし、素直に読める小説になるだろうにちょっと残念な感じ。すし屋でせっかくいいねたを仕入れているのに、シャリが悪いか握りが悪いかで単なる普通の寿司になっちゃっている感じかな。このシリーズは続くみたいなので、次に期待したい。次を読むと決めたわけでもないが。
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