the TEAM
井上 夢人著『the TEAM』読了
井上さんは昔は二人で岡島二人名義でミステリーを書いていたけど、どれもおもしろかった。一人になって少し書くペースが落ちてしまったけど、やっぱりおもしろい。
この作品は連作短編集だ。役者をやっていた霊媒師とそれをサポートするチームのお話だ。まあ、この小説で連続ドラマがすぐ作れそうなくらいドラマ慣れした小説だ。霊媒師といっているが詐欺師と紙一重で、相談にくる人の身辺を徹底的に調べてまるで見たかのように話すことにより信用させるものだ。確かにこんなにうまく空き巣に入ったり、インターネットを駆使して調べたりは出来ないと思うけど、なかなかおもしろい。手品師も同じだと思うけど、どんなトリックを見せられてもかならずネタがあって、まさか破った千円札が本当につながると言うことはないはずだ。ないはずだけど、それを見せられると信じてしまうくらいうまくないと手品師もやれないだろう。それと同じように霊媒師が事前に徹底的に被験者を調べ上げて見てきたことをあたかも感じたかのように話をして信頼させてお金をもらう。まあ、すべての霊媒師がそうだとは思わないけどそういうことがあってもおかしくない。
井上さんがすごいのは、そういった状況を作り出してそのなかで、ミステリーとなる話を短編として作り込んでいくことができる。10年前に自殺した妹が実は殺されたとか、失踪したと思われた妻が実は監禁されていたとか、出てくる話はそれほど変なことではないけど、非常におもしろくしてくれる。
一応この本の中で完結してしまっているが、このチームで長編を期待した。
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