君たちに明日はない
垣根 涼介著『君たちに明日はない』読了
図書館でたまたま見つけたが、一気に読んでしまった。あいかわらずこの著者の本ははずれがない。
表題はサラリーマンにとってはどっきりする内容だが、人員整理をアウトソーシングする会社の主人公が対象となるリストラ要員とのいわゆる人と人との関係のお話だが、そう簡単には片付けられない。対象者との面接や調査を通してその人間の中身をあぶりだし、そこから生まれる人間模様をうまく表現している。(こう書くとドキュメンタリーみたく感じてしまうかもしれないが、ドラマなのだ。文才のない自分がなさけない。)
現在の労働基準法では企業は指名解雇は禁止されている。だから、リストラするときは普通は条件を良くして退職者の公募を行ったりする。それでもやめてくれない人に対して薄暗い部屋に追いやったり、無意味な仕事をやらせるとかいろいろ社会問題となっているが、このようなリストラを委託されて行う会社があってもいいはずだし、実際にあるのだろう。社内の人事部でおこなうとそれこそ逆恨みされて闇討ちとか犯罪になるだろうし。社外の会社がやったからといって、対象となる人の怒りが薄まるわけではないが人事部はすこし安心かもしれない。
自分の会社もいつの間にか社員1000人の会社になっちゃったし、こじんまりとしていたときはものを言えば響くところがあったが、最近は何を言っても反応はないし単に愚痴にしかとらえられていない。会社も大きくなると組織として大きな問題を抱える良い例のまっただ中にいる感じがする。人生の中間地点も過ぎ、残りの社会人としての人生をどのように生きるべきか、悩むこのごろだ。
まあ、そんな堅苦しいことはおいといて、垣根さんの小説はどれもおもしろい。読んで損なし。
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