再生巨流
楡 周平著『再生巨流』読了
図書館でたまたま見つけた。楡さんの小説はほとんど読んでいるが、どれも非常におもしろい。これはビジネス書としても通用する小説だ。主人公は大手運輸会社の営業管理職だが、新規企画を行う新部署の部長となる。これが実は左遷であったのだが、転んでも倒れない非常にバイタリティにあふれた個性の強い人間だ。この運輸会社が新たなビジネスをはじめると言うことで、アスクルの様な通販事業を行うものだ。この話のモデルはたぶん佐川急便なのではないかと思う。あとがきにここを参考にしたとでている。あと、アルツハイマーについてもここを参考にしたとでている。
もともと楡さんは米国系企業に勤務している時に書いた『Cの福音』がベストセラーとなり、作家になったと略歴に書いてある。この主人公朝倉恭介シリーズは6冊出ているが、これも本当におもしろい。ビジネスの感覚は会社員をやっていたときのものであると思われるが、小説の中にでてくる会社でのやりとりとかは非常に現実感がある。なかなか企画書をつくったところで、上司やその上が理解して認めてくれるかというとそういうことは少ないものだ。確かに新しいことをやるとなったら、リスクもあるし儲かれば利益も出るが、そううまくいくとは限らない。うまくいくと決まっているのであれば、誰でもやるだろうし、誰かが先にやっているものだろうし。この小説のように新しい事業を立ち上げる経験など、一生のうちに1度あるかどうかだろうし、うまくいくとも限らないし。そういった体験をこの小説で仮想体験できる。おすすめできる小説。
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