サウダージ
垣根 涼介著『サウダージ』読了
『ヒートアイランド』、『ギャングスターレッスン』と続くこのシリーズの現時点の最終作を読んだ。やっぱり、この順で読まないと意味がない。現代のギャング3人組(主人公であるアキ、柿沢、桃井)からなるメインは非合法の金を奪うギャングの話であるが、この小説は恋愛小説だ。アキと和子、通称関根とDDの恋愛小説としてもとらえることが出来る。話の中で出てくる、柿沢と関根の昔話など、話に深みを与えている。最終的に暴力団のコカイン取引を襲い、コカインと金を奪うのだが、途中のアキと和子の関係は恋愛小説として描かれている。人物描写がしっかりしているので、情景を想像することが容易だ。
強盗の最後に関根が国会議事堂に突入して亡くなるのだが、『ワイルドソウル』で描き出した日本人移住者の不合理な状況を凝縮して作者が訴えたいものを表している様に思える。
最後の場面で和子がアメリカに旅立つ場面で携帯電話が鳴って、和子が戻ってくることを想像してしまった。ハッピーエンドにさせないところも心憎い。
たぶん、作者はまたこのシリーズを書くだろう。もっとおもしろいネタでこのアキと3人組を描き出してくれると思う。このシリーズおよびこの作者の小説は日本人として読むべきものだ。
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