99%の誘拐
岡嶋二人著「99%の誘拐」読了
最近文庫本として出版されて、ランキング上位に入った作品。岡嶋二人さんの本はほとんど読んだ記憶があり、この本も読んだような記憶はあったが、ランキングされているものを読まないのも癪なので、読んでみてたしか15年ほど前に読んだことを思い出した。
あとがきを読むと1988年の作品で、すでに15年前に岡嶋二人名義では解散している。なぜ、この作品が今になって文庫本になり、ランクインされているかがなぞだが、やっぱり岡嶋作品は面白い。たしかにいまの携帯電話、インターネット全盛時と当時とは状況がちがうが、リアリティもあってこの時代を感じさせる作品。
あらすじは誘拐ものなのだが、はじめの誘拐は誘拐によって身代金を奪うことが目的ではなく、手持ちの金を使わせるのが目的で、お金(正確に金塊)を海に沈めることによって投資しようとした金をなくして、投資をやめようとさせる。その20年後にその被害者が犯人となって、誘拐を行う。この誘拐が非常にコンピュータを駆使し、当時としては画期的、ディテールを描写しているので実際には不可能に近いこともあるのであるが、リアリティがあり、面白かった。たしかに今読んでも楽しめる。
こういう面白い小説を書いていた岡嶋さん(実際には2名の合作名義)が活動を停止して、井上夢人名義で作品を書いているが、岡嶋作品のような面白さがすこし減っているのは残念。もう一度岡嶋作品を最初から読んでみたくなった。
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